前・立教大監督→現役復帰の上野裕一郎が「日本最速の39歳」になっていた…「おじさんに負けるなよ」若い選手に発破をかけながら記録更新に挑む
何が39歳を駆り立てるのか
そんな思いを抱きつつ、ここまで真剣に陸上へ打ち込んでいる姿を見ていると、まるで何かに取りつかれているようにも思えてくる。上野をここまで駆り立てるものはいったい何なのだろうか。 「自分の原点は走ることですし、陸上が好きだからです。ストイックにやれているのは、好きだからこそ。これまでいろんなことがあった中、今も走れているのは、ひらまつ病院を始め、いろんな人の支えがあるからですし、仲間と切磋琢磨して競技力を高めたり、いろんな方と交流をもてるのも陸上があるからだと思っています」 上野が自分の原点を再認識できたのは、今後の人生を歩む上で大事なことのように思える。それを理解していればブレずに歩んでいけるからだ。そのことを理解できる環境を与えてくれたひらまつ病院や周囲の人に対して、上野は何度も、「感謝」を口にした。
改めて感謝の気持ちで
「昔は陸上しかやっていなかったので、陸上のスキルは上がりましたけど、精神的なスキルは上がっていませんでした。それで立教大にいろんな迷惑をかけてしまいましたので、精神的にも競技的にもう一度、成長していくというチャンスをもらったと自分は思っています。また、今こうして陸上が出来ていることやみなさんが支えてくれたことが、いかに自分にとって大きなことか。今、改めて感謝の気持ちでいっぱいです」 現役に復活し、1年を通して競技に取り組んできたが、改めて感じたこと、得ることはあったのだろうか。 「監督時代は、練習はしていましたけど、ここまで研ぎ澄ましてやっていなかったんです。でも、選手になると普段のジョグからストイックにいろいろ考えてやっているので、今はここが足りていないとか、これ以上やると怪我しそうでヤバいという判断がつくようになりました。39歳でも成長し、学ぶものがまだまだあります」
13分30秒を切りたい
2024年、39歳で5000mの日本最年長記録をマークした。個人種目としての目標は、今後、どこに置いているのだろうか。 「来年は、13分30秒切りたいです。37歳で32秒、38歳で34秒だったので、現役に戻って、その時よりも遅いというわけにはいかないですから。ただ、それ以上、例えば自己ベストは13分21秒49ですが、そこはちょっと想像ができないですね。来年は40歳になりますが、その年齢に合わせたもっていき方ができれば30秒切りが見えてくるかなと」 それでも13分40秒を切る走りが継続できれば、この先、少なくとも2、3年はトラックで活躍できそうだ。 「ひらまつ病院が僕の最終地点になります。ここで、『お前、足遅くなったからクビだ』と言われるまで走り続けたいですね。それが僕を拾ってくれたチームへの恩返しになると思っています」 〈つづく〉
(「箱根駅伝PRESS」佐藤俊 = 文)
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