パラ陸上、車いす性能向上 銅メダルの伊藤智也選手が使用
パリ・パラリンピックの陸上男子400メートル(車いすT52)で、伊藤智也選手(61)が銅メダルを獲得した。伊藤選手は競技用車いす(レーサー)の性能向上を目指してベアリング大手のNTN(大阪市)が個別に開発した部品「軸受け」を使用している。 軸受けは機械の回転部分で摩擦を軽減するための部品。「軸受けの改良でもっと速いタイムを出せないか」とNTNに伊藤選手から打診があったのは2021年5月。8月に東京パラリンピックが開幕する直前だった。 伊藤選手の練習拠点とNTNの開発拠点が三重県内にあることが縁だった。翌月には開発チームを立ち上げ、ベアリングの試作と試走を繰り返した。後輪を手で回転させるときの抵抗力を減らしつつ走行安定性を維持することが最大の課題で、担当する鷹取広太郎さんは「選手の感覚に合わせてバランスを取るのが難しい」と話す。 東京パラでは、直前に障害区分が軽いT53に変更となったが、同種目の400メートルで自己ベストを更新。T52への再変更が認められて臨んだパリでメダルを手にした。