「絶滅の危機」をフル活用 くら寿司が回転レーンをパレードする新サービスを打ち出したワケ
リアルに回る回転寿司は“絶滅の危機”
物価上昇からくる節約志向で、外食産業は苦戦を強いられている。リクルートの調査によると、物価上昇の影響で約50%が節約を意識。そのうち、77.3%が「外食の回数を減らす」と回答した。 くら寿司の業績は、主に都心部でのインバウンド特需もあり、売り上げ、客単価ともに年間決算では昨年越えの見通しだ。しかし、インバウンドの恩恵を受けにくい地方の店舗は客数が伸び悩んでおり、顧客を取り込める新施策を必要としていた。そこでくら寿司が着目したのが、お客が「どういう場面で寿司を食べるか」だった。 ぐるなびの調査によると、ハレの日のお祝いで外食したいメニュー1位に寿司がランクイン。また回答者の約半数が3カ月に1回は、ハレの日のための外食をしていることが分かった。「そこで、弊社の強みである『回転レーンで“リアルに回す”』ことと、ハレの日需要を組み合わせた新サービスとして、プレゼントシステムを導入することにしました」(岡本氏) くら寿司は、寿司を新鮮かつ安全に回転させるため、抗菌寿司カバー「鮮度くん」を2011年から設置。2023年にはレーンを回る寿司皿の不審な動きをAIカメラで検知する「AIカメラシステム」も導入し、安心・安全をアピールしてきた。 岡本氏は「リアルに回すことは回転寿司の存在意義」と力説。「コロナ禍や不適切動画の影響から、今やリアルに回る回転寿司は絶滅の危機にある」としたものの、リアルに回す点を強化することで差別化を図り、さらなる顧客獲得を狙う。 プレゼントシステムはまず、土日祝の限定メニューとして開始。東京は7店舗、大阪は3店舗の計10店舗に導入し、2025年春には全国展開を目指す。くら寿司のパレードのような新サービスは、お客を店舗に呼び込む起爆剤になるか。
ITmedia ビジネスオンライン