受験前の便秘で集中力低下も?いますぐできる対策を小児科医に聞く
便秘で「勉強に集中できない」
受験シーズンが到来し、入試を間近に控えた子どもたちの多くは、夜遅くまで勉強に励んでいることでしょう。しかし、そうした子どもたちの中には、便秘などおなかの不調を抱えるケースも少なくないといいます。小児科医で赤坂ファミリークリニック院長の伊藤明子さんに、家庭でできる対策を聞きました。 NPO法人「日本トイレ研究所」が2021年11月、全国の高校生男女1000人を対象に実施した調査では、約2割(19.6%)の生徒が「排便が3日に1回以下」と答え、このうち86.6%の生徒が「勉強に集中できない」と回答しています。 また、同研究所の別の調査では、「1週間のうち、排便のあった日数が2日以下」か「1週間のうち、硬い便が2回以上」のどちらかに該当する子どもは、小学生で4人に1人、中学生では5人に1人に上っています。 「便秘と下痢は、真逆の現象と思われがちですが、どちらも『腸内環境の乱れ』が原因です。胃や腸などの消化器官は、筋肉の収縮によって生じる波のような運動(ぜん動運動)によって、食べたものを運びます。栄養分と水分は腸管から体内に吸収されて、食べたものは最後に便として排出されます。腸が過剰に水分を吸収してしまうと便秘がちになり、逆に水分の吸収が不十分だと下痢になりがちになります」と伊藤さんは話します。 日照時間が短い冬は、日の光を浴びることによって体内で生成されるビタミンDが不足しがちです。ビタミンDには免疫力を高める働きがあり、大人も子どもも冬場は免疫力が低下し、風邪などの感染症にかかりやすくなります。感染症対策に加えて、子どもの胃腸の調子が心配な親御さんも多いかもしれません。 伊藤さんによると、慢性的な便秘は、やる気や集中力が低下することは以前から注目されていましたが、最近はそれを裏付ける多くのデータが出されています。塾通いで夕食が遅くなり、就寝時間が後ろ倒しに。翌日は朝寝坊をして、朝食を取らずに登校――。そんな場合は要注意です。 「私たち人間は、朝食を取ると『食べ物が口に入った』という信号が脳に送られ、大腸のぜん動運動を活発にするようにします。そのため、朝食を抜くと、お通じのタイミングを逸してしまいます」と伊藤さん。 朝食抜きで学校に行くと、身体と脳に必要なエネルギーが不足するので眠気や疲労や倦怠感を感じ、授業にも集中できません。また、朝食を食べていても家でトイレに行かずにバタバタと学校に行って、学校で少し落ち着いたところで便意をもよおしても我慢してしまう子がいます。我慢することが便秘につながってしまうことも多いです。