「最新!ボケない食習慣」認知症予防は食事から、WHOのお墨付き“地中海食”のススメ
ボケない食事スタイル「意識すべきは地中海食」
認知症予防食としてWHOのお墨付き! 「前述の6項目に、オリーブオイル、緑黄色野菜、ナッツ類などを加えた食品を網羅し、お手本にしたい食事スタイルが“地中海食”です。 世界保健機関(WHO)も認知症予防食として推奨しており、地中海食を多くとる人は、アルツハイマー型認知症のリスクが40%も低下したという調査報告もあります」 では、なぜ地中海食が認知症予防食になりうるのか。理由は毎日食べるように定めた3つの食品にある。 1つ目は、オリーブオイル。コレステロールを減らす作用を持つ不飽和脂肪酸のうち、オメガ9脂肪酸の代表格であるオレイン酸を多く含む食品で、脳の細胞を柔らかに保ち、情報の伝達をスムーズにする。 「さらに、オレオカンタールというポリフェノールも含んでいて、これは、研究で老人斑を減らす効果があることが確認された注目の成分です」 2つ目は、不飽和脂肪酸を含むナッツ類。オレイン酸やビタミンEを含むアーモンドをはじめ、体内で生成できないオメガ3脂肪酸のαリノレン酸が豊富なクルミなどだ。中でもクルミは認知症予防食品としてより認知機能が改善するというデータもある。 そして、毎日たくさんの野菜を食べることも地中海食のルール。特に、脳の老化を防ぐ抗酸化物質が多い緑黄色野菜は欠かせない。 「緑黄色野菜に含まれるビタミンCとナッツ類に含まれるビタミンEを一緒にとり続けることで、アルツハイマー型認知症になりづらくなるという研究もあります」 また、地中海食ではヨーグルトやチーズといった乳製品も推奨。動物性タンパク質が脳の活動を支えてくれる。 「意識的にオリーブオイルを使ったり、サラダにナッツ類を加えたり、ぜひトライしてみてください」
ボケが加速するNG習慣
「脳の認知機能を維持するために避けたい食べ物や食べ方はありますが、無理に避けて食事が楽しめず、食欲が減退しては本末転倒。少しずつやめていくようにしましょう」 身体にいいものだと、同じものばかり食べる いくら脳によい食べ物でも、同じものが続くと栄養が偏り、認知症とは違う病気に結びついてしまう。 「多様な食品を食べている人のほうが認知機能は低下しづらいことも研究でわかっています。まずはバランスのよい食事を」 糖質をとりすぎている 「糖質が多すぎる食事は、大量のインスリンを分泌させ、それが続くと脳のゴミを処理できない状態を引き起こします。まずはご飯を少し減らし、野菜やおかずを先に食べて、血糖値の急上昇を抑える食べ方を始めましょう」 塩分をとりすぎている 「塩分の摂取過多による高血圧は、脳の血管の状態を悪化させる大きな要因。アルツハイマー型認知症、脳血管性認知症のいずれのリスクも高めます」 みそ汁など塩分が高い和食や外食が多めの人は頻度を減らす努力を。 やわらかいものばかり食べる 食事中に“よく噛む”ことも認知機能の活性化に。 「脳の海馬を刺激するので、記憶力の向上効果が得られます。逆に、あまり噛まずに食べられるやわらかいものばかりだと、海馬が衰え、記憶力が低下してしまうので注意です」 教えてくれたのは……認知症専門医 古和久朋先生●東京大学医学部附属病院で認知症専門外来の立ち上げを経て、現在は神戸大学医学部附属病院の認知症専門外来で診療に携わる。著書に『80歳からでも間に合う 認知症がみるみる遠ざかる食べ方大全』(文響社)。 取材・文/河端直子