基本混浴、お湯には水着で…約500湯を巡った温泉オタク会社員が体験した「日本と設備・ルール・雰囲気の何もかも違う!」ヨーロッパの温泉の実態とは
訪れた温泉は約500湯、女ひとりで温泉を巡りまくっているという永井千晴さん。旅行情報誌編集部で働いた経験を活かし、現在は「温泉オタク会社員」としてブログなどで温泉情報を発信しています。その「温泉オタク会社員」こと永井さんが温泉の楽しみ方を紹介する当連載。今回のテーマは「めちゃくちゃ楽しい、水着で浸かるヨーロッパの温泉」です。 永井さんおススメの温泉がこの一冊に!『女ひとり温泉をサイコーにする53の方法』 * * * * * * * ◆ヨーロッパへ温泉旅行 2019年、転職に際し、1カ月の有休消化期間を手に入れました。せっかくだからと頑張って計画立てて行ったのは、ヨーロッパ。 最後にいただいたボーナスを握りしめ、ドイツ、ハンガリー、アイスランドで計15箇所の温泉をめぐりました。いや~楽しかった。 それまで海外で訪れた温泉といえば、寒すぎて足元しか入らなかったパムッカレ(トルコ)と、今にも崩れそうな見た目の北投温泉(台湾)の公衆浴場だけ。 ヨーロッパは基本混浴だし、水着で浸かるような温泉も果たして楽しめるのか……? とドキドキしながら行ったのですが、すばらしい体験が待っていました。 ドイツの温泉保養地には、かつてヨーロッパ各地から貴族や作曲家が訪れたそうで、日本でいえばさながら将軍や文豪に愛された箱根・熱海のよう。入浴プログラムもかなり研究されていると聞くので、とっても楽しみでした。 訪れたのは「ヴィースバーデン」「バーデン・バーデン」「バート・ホンブルク」の三つの温泉地。ドイツの玄関口・フランクフルトの周りに点在しているので、めぐりやすいのもポイントです。 ドイツ語でBadeは入浴の意味なので、Bad(バート)やBaden(バーデン)は温泉地を指すようです。湯河原とか湯布院みたいなことなのでしょう。
◆ドイツの温泉 基本的にドイツの温泉地には、「現代的な日帰り入浴施設」と「トラディショナルな日帰り入浴施設」の二つが備わっていて、前者はプール、後者はサウナの様相が強いです。 一つの施設を楽しむのに2時間はかかるので、1日2箇所めぐればくったくた。大体がロッカーキーで最後に精算する仕組みをとっていて、場内にあるカフェバーで食事をしたり、ビールを飲んだりしながらうだうだと過ごします。 基本は混浴ですが、曜日で女性専用デー(または男女別の日)を設けている場合があるので、事前の情報収集が肝心でした。 現代的な日帰り入浴施設も楽しいのですが、やっぱり温泉オタクが興奮したのは「トラディショナル」なほう。ドイツの中で一番好きだったのは、バーデン・バーデンの「フリードリヒス・バート」でした。 12の源泉からなるミネラル豊富な混合泉がウリ。 浴場には17の工程が決められていて、「このサウナに何分」「この湯船に何分」とプログラムがありました。これがすごく面白い。ベルトコンベアで健康にされていく気分です。 9番目の工程で、36度ぐらいのぬる湯に浸からされるとき、天国かと思いました。ほんのり塩味の炭酸泉で、新鮮そのもの。アワアワ。サイコーです。 ドイツは全体的に炭酸のぬるい温泉が多くて、ぬる湯好きにはたまりません。温泉=高級保養地らしく、お客さんは「遊びに来ている」のではなく、「休みに来ている」雰囲気。治安もよくて、どの温泉地も上品でした。 サウナがかなり充実していて、どこの施設も種類豊富なのもすばらしくて。スタッフが説明しながらサウナストーンに水を入れてブワーッと扇ぐ「アウフグース」(ロウリュ的なプログラム)はマジで1年分の汗をかきました。 いずれの温泉地にも「クアハウス」という娯楽施設があり、湯治客がカジノや舞台を楽しむところとして親しまれているのも興味深かったです。ドレスコードがあるので、温泉街にドレスや革靴が買えるブティックが並んでいるのも面白かったなあ。
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