「徹子の部屋で、一度も同じ洋服を着ていない」 黒柳徹子さんが衣装に込める想い
迷いのあるほうが、仕事は案外長く続く
三船敏郎さんも仕事がなくて、カメラをやったことがあるからカメラマンを募集しているそうだからと聞いて東宝に行ってみたら、「やっていないから、ニューフェイスに行ってください」って言われて、ニューフェイスに行って。 で、「笑ってください」とか言われたけど、「そんな、笑えって言われたって笑えない」で、もうだめで帰ろうと思ったら、その中の監督のお一人が、ちょっと呼び戻してって。 三船さんは駅でね、来た電車に乗らなかったんですって。それでね、どうしようかなと思っていたら「もう一度、戻ってください」って言われたんです。 あのとき電車に乗っていたら、いまの三船敏郎さんはなかった。そういうふうに何か不思議な、自分がなりたくてなったわけじゃない、けれどなっちゃったっていう方が多いんですね。 だからね、「これでいいだろうか......」って、私、自分がそうだったからわかるんです。自分に才能はないんじゃないかとか、できるかなって、そういう疑問があって。 本当にスターになりたくてなったわけじゃないものだから、やっぱりこれでいいのかなっていうのがいつもあって。そういうものがあったほうが案外長く続くっていうことが、「徹子の部屋」をやってわかりましたね。 【黒柳徹子(くろやなぎ・てつこ)】 東京生まれ。東洋音楽学校(現・東京音楽大学)声楽科卒業後、NHK専属のテレビ女優第1号として活躍する。1976年にスタートした「徹子の部屋」(テレビ朝日系列)の放送は、同一司会者によるトーク番組の最多放送回数世界記録を更新中。1981年に刊行された『窓ぎわのトットちゃん』は、国内で800万部、世界で2500万部を超える空前のベストセラーとなっている。2023年には、その続編となる『続 窓ぎわのトットちゃん』が刊行された。1984年からユニセフ親善大使となり、延べ39カ国を訪問し、飢餓、戦争、病気などで苦しむ子どもたちを支える活動を続けている。
黒柳徹子(俳優)