自然界最強「ミノムシの糸」を製品化、スポーツ用品や自動車に活用へ…興和「化学繊維に代わる存在に」
医薬品メーカーの興和は、ミノムシの糸を使った繊維を世界で初めて製品化した。炭素繊維強化プラスチック(CFRP)と組み合わせて強度を高め、スポーツ用品や自動車のボディーなどでの活用を目指す。 【写真】ミノムシの糸を使った繊維シート
ミノムシが吐く糸はクモの糸を上回り、自然界で最も強度が高いとされる。興和は2017年から農業・食品産業技術総合研究機構と共同研究を続け、実用化を検討してきた。
興和は人工飼育のミノムシに糸を吐かせ、シート状の繊維製品を作る手法を確立した。シートをCFRPに貼り合わせることで、より衝撃に強く、壊れにくくなる。自動車や航空機のボディー、医療用機器などでの活用を想定しており、協業先の開拓も進めていく。近く、スポーツ製品で採用される予定だ。
製造コストの高さが課題で、量産化には数百億円単位の設備投資が必要となる可能性もあるといい、効率的な生産体制を検討する。
興和の三輪芳弘社長は、「ミノムシ素材は高強度かつ環境にやさしい天然繊維で、化学繊維や炭素繊維に代わる存在として世の中にイノベーションをもたらす可能性を秘めている」と意気込む。