「謝罪で総理の職を手にした石破氏」と「絶対に謝らず失職した斎藤前兵庫県知事」を分けた命運ーー重要場面を左右する「謝罪」の肝
しかしこれが、違法薬物や事故で他人に傷害を与えてしまったような違法行為の場合、まさに「謝って済む」ことはありません。兵庫県庁では、既に県職員が2名、自死という形で命を落としています。 パワハラ的言動だけが問題だったのであれば、もしかすると初動から丁寧な謝罪などでダメージコントロールができていれば、流れが変わった可能性はあり得ます。 県民の判断は、この先の知事選挙で明らかとなるでしょう。一方パワハラや公益通報対応、さらには疑惑の本丸ともいわれる阪神・オリックス優勝パレードにまつわる問題など、事実究明は終わっていませんし、もし事実であればお詫びで何とかなるものではないでしょう。
4度の敗北を乗り越えて、ついに総裁に選ばれた石破氏。謝罪という異例のアピールは、決して無駄にはならなかったように思います。一方で、激しい批判を浴びても自己肯定を覆すことなく、出直し選挙に臨む斎藤氏。両極端な態度の結果はこれから明らかになるでしょう。
増沢 隆太 :東北大学特任教授/危機管理コミュニケーション専門家