東日本大震災の記憶を後世に 福島県浪江町の両竹地区に石碑建立
東日本大震災の津波で甚大な被害を受けた福島県浪江町両竹(もろたけ)地区に石碑「東日本大震災祈念碑」が建立された。地域の歴史や震災と東京電力福島第1原発事故の記憶を次世代につなぐ。 町両竹地区は震災の津波で壊滅的な被害を受け、全27戸が流失。10人が犠牲になった。災害危険区域に指定され古里への帰還ができなくなり、住民は県内外に離れ離れになった。 住民が住んでいた証しを残そうと、両竹行政区が4年ほど前から記念碑の建立に動き出した。今夏から工事が始まり、沿岸の県道沿いに設置した。石碑には震災当日に住民が高台にある諏訪神社に避難し、雪が降る中、たき火を囲んで一夜を過ごした状況を記載。「離散した住民のふるさと両竹への想いと複合災害の記憶を後世に伝える」などと記した。 10月末には住民が集まり、現地で竣工(しゅんこう)式が行われた。両竹行政区長の竹添武さん(76)=郡山市在住=は「記念碑を通じて多くの人に当時の状況が伝わってほしい。『心の古里』として住民の支えになればうれしい」と願う。