【解説】岸田派、二階派が解散へ 安倍派も解散か 自民党の派閥が続々解散を表明する中で三輪記子弁護士は「”派閥の解消=問題解決”とはならない」
自民党の派閥をめぐる政治資金問題で東京地検特捜部は19日、大野泰正参議院議員(64)を政治資金規正法違反の罪で在宅起訴、谷川弥一衆議院議員(82)を略式起訴しました。ともに19日自民党を離党となっています。また、安倍派の会計責任者と二階派の元会計責任者は在宅起訴され、岸田派の元会計責任者は略式起訴されました。その一方で、安倍派の幹部7人は不起訴となる見込みです。 自民党が揺れる中、岸田総理は自身が所属していた派閥の解散すると表明しました。
岸田総理「宏池会の解散検討」 党内から反発の声も
自身が所属していた派閥「宏池会」を解散する考えを示した岸田総理。二階派も派閥の総会で、二階会長が「派閥を解散する」と明言しました。最大派閥の安倍派も19日、派閥の臨時総会で塩谷座長が謝罪し、解散するとみられています。 一方で、麻生派・茂木派・森山派は派閥の存続を主張しています。麻生派の麻生副総裁は、「ルールを守っている派閥が、バカを見ることがないように」と政治刷新本部で述べました。茂木派の山下元法務大臣は18日のテレビ番組で「岸田派は人材育成など派閥の役割すらも否定してしまうのか」と発言しています。
【三輪記子弁護士が解説】「派閥の解消=問題解決」とはならない 私たちの行動も問われている
岸田派や二階派が派閥解散ということを公表していますが、これだけでは根本的な解決には至らないと考えます。 今回は秘書や会計責任者らが立件され、国会議員は1人が逮捕されただけなんですが、理由は政治資金規正法の罪に問われる主体が会計責任者となっているからです。現状では「秘書がやったことで私は知りません」が通用してしまう法律の立て付けになっているんですね。 国会議員を罪に問おうとすると、共謀の立証が必要になってきます。この共謀を客観的に立証できず、派閥の事務総長たちは不起訴処分にするしかない、ということになったんだと思います。 取りざたされているパーティー券についても同じように国会議員に”いいわけ”ができる法律の立て付けになっていて、例えばパーティー券購入者の氏名公開基準額は20万円です。ということは「19万円ずつ買って下さい」と言って回れば、氏名を公表しなくていいわけです。 これらの法律が今後改正されていく可能性はあると思いますが、法律をつくるのは国会議員ですから、わざわざ自分たちに不利な形で法律を改正するとは考えにくいですよね。 刑法上の責任が問われず、選挙で”みそぎ”を経れば何事もなかったことにしてもいいのでしょうか。私たちの行動が問われていることも忘れてはならないと思います。
こうした”抜け穴”をなくすため、議論されているのが「連座制」の導入です。 連座制とは、会計責任者が罪に問われた場合、たとえ議員がかかわっていなくても責任が及ぶ制度です。 ”抜け穴”のないルールをつくっていけるのか。それができなければ、自民党への不信感はますます高まります。 (『newsおかえり』 2024年1月19日放送分より)
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