【箱根駅伝】77年連続出場の日体大は、"3本柱"に4年生の粘りを融合「古豪と呼ばれて久しいが、新しい駅伝も見せたい」
石川龍芽「最後は絶対に6区を走りたい」
勢いのある3年生の活躍に刺激を受けている4年生たちは、静かに闘志を燃やしていた。予選会で激しい裂傷を負いながら気合で最後まで走り抜いた石川龍芽(4年、名経大高蔵)は、こだわりの区間を走るために1年間かけて取り組んできた一人。指揮官が重要区間に挙げる山下りの6区への思いは並々ならぬものがある。 「前回大会もメンバー入りして、6区の補欠で控えていました。最後は絶対に走りたいです。この1年で対策してきたのは最初の上り坂。ずっと苦手意識を持っていたのですが、流し(練習最後の走り)やトレッドミルで意識して走り続け、自信をつけました」 区間のイメージはほぼ完璧にできている。前半4.8kmまでの上り坂を攻略し、一気に得意の下り坂を駆け下りていく。最低限のタイムは59分台フラット。58分半を目指し、区間5位以内も視野に入れている。見せ場はスタミナが問われる残り3kmの平坦(へいたん)だという。 「僕がメンバーに入れたのもそこだと思っています。ラスト3kmでド根性を出せるのは、僕しかいないかな、と。6区は監督が乗る運営管理車も最後だけ合流します。そこでさらにパワーが注入されると思います」。4年目で初の箱根路出走を目指す石川は、想像を膨らませていた。「『お前なら行くしかない』『何のためにお前を選んだのか、分かるか』って、声をかけてもらいたいですね」
分須尊紀「走力のある選手たちがそろった」
それぞれが熱い思いを口にする中、誰よりも落ち着いていたのは、3年連続で箱根路に出走している主将の分須だった。本番までは約3週間。活気あふれるチーム全体を見渡し、ふと口元を緩めた。 「在籍した4年間の中でも、一番良い状態に仕上がっていると思います。持ちタイム、練習消化率を見ても、走力のある選手たちがそろいました。各自が他大学に勝つ意識を持って練習に取り組んでいます。全員が本来の実力を発揮できれば、シード権は獲得できると思っています」 4年生最後の箱根駅伝になるものの、主将の肩には力が入っていない。むしろ、あえてリラックスした表情を浮かべていた。「気負いすぎると力を発揮できないので。与えられた区間で役割をまっとうしたいと思っています」 イメージしているのは、復路の7区、8区。第100回大会では8区で区間2位と好走し、大きな期待を寄せられているが、本人は謙虚な姿勢を崩そうとはしない。「最低でも区間8位以内で走れれば、と思っています。目標があまりに高すぎると、プレッシャーを感じてしまうので。自分の力を出し切るようにしたいです」