船井電機の原田義昭会長「過去とがめてもプラスにならない」 週内にも事業再生計画(下)
破産騒動に揺れる電機メーカー、船井電機(大阪府大東市)。10月に取締役の1人が単独で東京地裁に破産手続きの開始を申し立てると、9月に会長に就任した自民党元衆院議員の原田義昭氏も関知しておらず、同決定の取り消しを求めて東京高裁に即時抗告を申し立てた。原田氏は週内にも事業再生計画を裁判所に提出し、「従業員を最後まで守り抜く」として、再生に向けた準備を加速する考えだが、道のりは険しい。 【図で解説】3年半の間に一体何が…船井電機を巡る資金の流れ <船井を巡っては2000年代初頭、液晶テレビを主力に北米でシェア1位を獲得したが、最近は中国勢との価格競争などが要因で販売が振るわなかった。令和3年に出版社が買収し、経営の多角化を図ったが、資金繰りが悪化する。約300億円が流出したとみられ、今年10月24日、取締役の男性が東京地裁に「準自己破産」を申し立てた。即日決定を受け、従業員約500人に一斉解雇が通達された> ──令和3年に出版社に買収されて以降、約300億円の資金が流出したとされる 「十分な情報収集には至っていない。まずは事業の再生により多くの力を使っていきたい」 ──不可解な資金の流れに前執行部の責任を問う声もある 「事業再生に向け、反省すべきは反省しないといけない。ただ、過去をとがめても、従業員にはプラスにならない。最速で従業員を助けるにはどうするか。刑事事件に発展させれば、より混乱して、再生はますます厳しくなる」 ──企業ブランドは大きく毀損(きそん)された。事業再生できるという根拠は 「資産評価を行えば、実は破産するまでには至らないという専門家の声もある」 「核となるのはテレビ電機。海外事業も将来的にはアフリカや中南米、東南アジアなどに広げる余地もある。ただ新規事業はすぐに採算が取れない。持てる力量を見直して稼げる態勢を整えていく。従業員に対して『将来がある』と植え付けることも大事なことだと思う」 ──事業再生についてテレビを中心とした家電事業に集中するのか、別の事業に進出するのか 「現時点で具体的な方針は説明できないが、テレビは中国や韓国との競争力は難しい。従業員の技術流出を食い止めた上で、新しいマーケットに生かさなければならない」