中国の習政権、外資誘致に躍起も海外投資家の不安なお拭えず
(ブルームバーグ): 中国の政府当局者は外国資本誘致を図る習近平国家主席の呼びかけに応えようと、海外を飛び回っている。ただ、習氏の政策も一因となり、そうした動きは投資家から疑いの目で見られている。
内モンゴル自治区の当局者が先週、シンガポールの4つ星ホテルで潜在的な投資家に同自治区のレアアース(希土類)産業をアピールした際も、懐疑的な声が聞かれた。
ある出席者は、米中対立の焦点で輸出規制の対象でもあるレアアースへの外国投資を中国政府が本当に歓迎するのかと疑問を呈した。もちろんだと当局者は請け合ったものの、3日後にはこうした資源を管理する規制が強化された。
こうしたやりとりは、世界2位の経済大国である中国に投資するよう企業を説得する上で、当局者が直面している課題を浮き彫りにした。対中直接投資に関する政府指標の一つは5月に月間ベースで2018年半ば以来の低水準を記録。外国の脅威に対する国家安全保障の強化と経済のさらなる開放という習政権の相反する取り組みが、投資家の警戒感を招いている。
ワシントンのスティムソン・センターで中国プログラム担当ディレクターを務めるスン・ユン氏は、「いったん信頼を失うと、回復するのはそう簡単ではない」として、当局者の海外での売り込みが成功するかどうかが分かるのはこれからだと語った。
中国の最高指導部はこの問題を承知しているもようだ。習主席は3月、米国のビジネスリーダーらとの会合を開き、信頼回復に努めた。李強首相と何立峰副首相はこの1週間に、外資誘致に一層注力するとそれぞれ表明した。
11月の米大統領選挙を前に、中国への投資ムードはさらに冷え込む可能性がある。返り咲きを狙うトランプ前大統領は大統領選に向けた第1回討論会で、中国が米国に「大打撃を与えている」とし、それを容認したとしてバイデン大統領を批判した。
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原題:Xi’s China Proves a Hard Sell at Officials’ Overseas Roadshows(抜粋)
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Josh Xiao