北陸新幹線の敦賀延伸だけじゃない、2024年の鉄道の注目イベントは? 新型車両や新観光列車が続々、東海道新幹線は開業60年「鉄道なにコレ!?」【第55回】
▽特急「やくも」にブロンズ色の「273系」登場、国鉄特急型電車が全廃へ JR西日本は岡山駅と出雲市駅(島根県出雲市)を結ぶ特急「やくも」で、新型車両「273系」の営業運転を2024年4月6日に始める。車体のブロンズ色が特徴的で、地図データも活用してカーブで車体を自動で傾ける車上型制御付き振り子方式を初採用した。 もっとも、鉄道愛好家がより注目しているのは日本国有鉄道(国鉄)時代に登場した特急型電車の消滅ではないだろうか。というのも273系の導入はやくもで活躍している最後の国鉄特急型電車となった「381系」を置き換えるためで、消滅への“Xデー”が近づいているからだ。 1973年に登場した381系は、曲線を通過する速度を上げるために日本で初めて振り子方式の車体傾斜装置を採用した。ただ、曲線を走る際の振り子方式の揺れを「心地よくないと感じる乗客もいる」(JR西日本関係者)。このため、車内の洗面所にはいざという場合のためのエチケット袋も用意している。
JR西日本は筆者の取材に対して381系は「現時点で波動用としての継続使用の予定はなく、順次廃車、解体を進める」と説明。4両編成の273系を2024年6月末までに11編成、計44両を全て導入し、381系は定期運転を終える公算だ。 ▽根室線は部分廃止、九州では日本最古の現役SLが引く観光列車が終了 他にも残念な「お別れ」が待ち受けている。JR北海道の根室線富良野(北海道富良野市)―新得(北海道新得町)間(81・7キロ)が2024年3月31日で営業運転を終え、4月1日付で廃止される。 JR九州は1922年製造と国内現役最古の蒸気機関車(SL)「8620形58654号機」がけん引する観光列車「SL人吉」の運転を2024年3月23日で終了する。 ▽日本の大動脈は10月に開業から60年 日本の大動脈となっている東京―新大阪(大阪市)間の東海道新幹線は2024年10月1日、最初の東京五輪が開かれた1964年の開業から60年を迎える。
東海道新幹線が約1時間半で結んでいる品川(東京)―名古屋間を40分でつなぐリニア中央新幹線は、JR東海が計画していた2027年の開業が困難になった。静岡工区の着工のめどが立たないためだが、24年には果たして動きがあるのだろうか? ※「鉄道なにコレ!?」とは:鉄道と旅行が好きで、鉄道コラム「汐留鉄道倶楽部」の執筆者でもある筆者が、鉄道に関して「なにコレ!?」と驚いた体験や、意外に思われそうな話題をご紹介する連載。2019年8月に始まり、ほぼ月に1回お届けしています。ぜひご愛読ください!