音漏れ防ぐ無線イヤホン「nwm DOTS」レビュー。通話しやすいNTT独自技術の実力
2024年もポータブルオーディオ業界ではオープンイヤースタイル(開放型)が流行した。いわゆる「耳をふさがないワイヤレスイヤホン」のことだ。 【全画像をみる】音漏れ防ぐ無線イヤホン「nwm DOTS」レビュー。通話しやすいNTT独自技術の実力 開放型のイヤホンは、装着したまま周囲の音が聞こえる利便性や軽快な装着感を特徴とする。一方で、耳をふさがないことから「音漏れ」も発生する。 この音漏れを独自技術によって克服した新製品、NTTソノリティの「nwm DOTS」(直販価格2万4200円)を実機レポートする。
開放型なのに音を漏らさないNTTの独自技術
nwm(ヌーム)はNTTグループから誕生したNTTソノリティの音響ブランドだ。2024年7月に発売した「nwm ONE」は「耳をふさがないワイヤレスヘッドホン」という新しいカテゴリーの先駆けとなった製品だ。 NTTソノリティは、NTTグループが通信端末などの開発から培った2つの独自技術を製品に活かしている。 1つが「音を閉じ込める技術」である「PSZ(Personalized Sound Zone)」だ。 イヤホン、ヘッドホンを密閉構造にしなくても、外に漏れてノイズ成分になる音に対して「逆位相」の音波を当てて、周囲の人の耳では聞き取れにくくするというもの。 NTTコンピュータ&データサイエンス研究所が培ってきた「PSZスポット再生技術」がベースになっており、現在は特許化を進めている。 2つ目はNTTが特許を取得した「Magic Focus Voice」だ。 ハンズフリー通話の際に、マイクが話者の声を特定して、周囲のノイズ音だけを除去しながらクリアに通話音声を聞かせる技術だ。 7月に発売したヘッドホン・nwm ONEも、11月20日に発売したイヤホン・nwm DOTSも、この2つの独自技術を載せている。
音楽再生と通話音声は明瞭
nwm DOTSを試してみると、音楽再生からビジネスシーンまで幅広く使えるワイヤレスイヤホンだと感じた。筆者が重視したポイントは以下の3点つになる。 1つ目は「音の聞こえやすさ」。 DOTSに搭載された独自設計の12mm口径の大型ドライバーは、大きさの割に力強く音が鳴り、音像の輪郭が明快に感じられる。 特に声の帯域が伸びやかなので、賑やかなカフェや電車の中でもYouTubeのトーク番組の声がしっかりと聞こえる。 重低音もしっかり締まって聞こえる。ヒップホップ系の楽曲も低音のビートをズシンと響き、まるでスピーカーで音楽を聴いているような広々とした音場感が得られた。 Web会議やハンズフリー通話などのシーンでの聞こえやすさも試した。 家族にnwm DOTSを装着しながら話してもらい、「Magic Focus Voice」が音声通話にもたらす効果も試聴した。 独自のノイズリダクション技術によって、話者の背景で鳴っているノイズはかなり抑え込まれる。同時に話者の声がクッキリと立体的に浮かび上がる。 そのため、大きめなノイズが飛び込んできても声がぼやけない。 nwm DOTSで再生しているサウンドは「どれぐらい周囲にもれないのか」もチェックした。 賑やかなカフェではデバイスの再生音量を70~80%に上げて音楽を聴いても、対面している家族に音が漏れていることを指摘されなかった。 自宅の静かなダイニングルームだと、スマホの音量を60%ぐらいまで上げたところで家族に気付かれた。音もれに敏感な人であれば、シャカシャカと鳴って漏れるリズムセクションの音が気になるかもしれない。 とはいえ、他のオープンスタイルのイヤホンに比べると、nwm DOTSはやはり格段に音もれが少ない。 専用モバイルアプリの「nwm Connect」が搭載するイコライザーで音のバランスを調整すれば、音量は低めに抑えながら音を聴きやすくできる。 例えば、低音を持ち上げる「More bass」、声を聞こえやすくする「Clear voice」などEQプリセットを上手に使い分けたい。
山本 敦