【高校バレー】「二人の3年間と、これから。―京都・東山高校、花村知哉&尾藤大輝―」
この春卒業を迎えた京都・東山高校の元主将・花村知哉選手と元エース・尾藤大輝選手。1年生からともに高校バレー界を引っ張り続けた二人の3年間を、折々のインタビューでの言葉とともに振り返る。
■一番の思い出は二人そろって
卒業式当日。式典を終えて「あっという間だった」と笑顔で3年間を振り返った主将の花村知哉選手。元々は地元・愛媛県の高校に進むつもりだったが、豊田充浩監督(現・総監督)から声がかかり、強豪・東山に進学。厳しい練習にもくらいつき、1年生でレギュラーを掴み取ると「先輩を勝たせたい」と、がむしゃらにバレーに打ち込んだ。 一番の思い出をそれぞれ聞くと、二人そろって挙げたのは、2年生時のインターハイ。決勝で東福岡を破り東山初のインターハイ日本一に貢献した。表彰式直後には「今までバレーをやってきて一番嬉しい」と白い歯をこぼしながら喜びを表現した尾藤大輝選手はその喜びと同時に、目標だった日本一を達成したことで次第に「追われる側」のプレッシャーも感じたと当時を振り返った。
■「先輩を勝たせたい」から「後輩たちを全国に連れて行ってあげたい」へ
翌年1月の春高全国では、ベスト4へ進出するも準決勝ではフルセットの末、熊本・鎮西に敗れた。試合後「3年生を勝たせたかったんですけど勝てなくて悔しいです。」と涙を流した花村選手。その4日後には新チームが始動し、キャプテンに就任した。 再び日本一を掴むため、二人は最上級生としてスタートを切ったが、その求めるレベルの高さ故か、この1年はチーム内での衝突も多かったという。花村選手はキャプテンとして、チームがうまくいかない時には仲間たちに対して怒ることもあった。精神的に負担のかかる立場でもあるが、その姿勢を貫いたのは彼が「憧れ」と語る1学年上の元主将・池田幸紀選手(現・関西大1回生)の背中を追ってきたからこそでもある。 「言葉だけではなく自分の行動が伴っていないとみんなは絶対についてこない。」練習では人一倍声を出し、朝練も昼練も一番に来て努力していた先輩の姿を見てきたからこそ、自分も意識を高く持った。 衝突すればとことん会話をした。尾藤選手は、花村選手がチームのことを考えてくれる中で(尾藤選手)個人の気持ちとしてキャプテンの意見を尊重できず、ぶつかることも多かったが「(花村)知哉は受け止めてくれた」という。そんなキャプテンの姿を尾藤選手は「去年の(池田)幸紀さんもそうなんですけど、信念を貫き通す強い心を持っている人で、そういう部分をすごく尊敬している。あれだけ自分のこともやりながらチームのために尽くせるのは本当にすごい」と語った。