尾上松也、舞踊劇『おしどり』で武将と鳥の精との二役!仲睦まじい夫婦の情をみせる
■最近はレコードで音楽を聴くのにハマッています!
小僧 バイラ読者は、歌舞伎を観たことのない人もいるのですが、歌舞伎初心者はどんなところに注目して歌舞伎を観たらいいでしょうか。 松也 まず、ひとことで歌舞伎と言っても、いろいろなバリエーションの作品があるということを知っていただきたいですね。白塗りの人たちが出てくる時代ものに、庶民の生活を描いた世話物、華やかな舞踊もあります。悲劇があれば、喜劇もありますし、幽霊が出てくる怪談もある。とにかくバラエティに富んでいるので、まずは劇場で歌舞伎の幅の広さを感じていただきたいですね。きっと自分好みの演目に出会えると思います。 それから歌舞伎って、すごく堅苦しいと思われがちですけれど、突拍子もない話もけっこうあるんです。5月の『毛抜』なんて、まさにかなりぶっ飛んだ作品です。 部長 そうですね。娘が髪の毛が逆立つ病気にかかるとか、毛抜きが立って勝手に踊りだすとか(笑)。挙句に天井裏に強力な磁石を持って潜んでいた忍を突き止めるという……奇想天外です。 松也 歌舞伎でなければ成立しないようなシチュエーションが随所にあって、初めて観た方はワケがわからないかもしれないですけれど(笑)、「こんなのもアリなんだ!?」という発見がたくさんあると思いますので、その意外性を楽しんでいただきたいと思います。 部長 では最後に、これからますます忙しくなりそうな松也さんですが、癒しになっているのは、どんな時間ですか。 松也 いろいろありますけれど、直近だとレコードで音楽を聴くのにハマっています。友達からレコードをプレゼントしていただいたのがきっかけなのですが、もともとうちにはレコードプレイヤーがなかったんですよ。友達は「家に飾るだけでも」と言ってくれたのですが、レコードを飾ってサマになるようなおしゃれな部屋ではないので(笑)、この際だからと思って、プレイヤーを買って聴くようになったら、すごくリラックスできていいなって。今ではいろいろなレコードを買って、日々聴いて癒されています。 小僧 レコードだと、デジタルとは音質が違いますか。 松也 僕は音楽に対して、そんなに繊細な耳を持っているわけではないですけれど、やはりやわらかいというか、包み込まれるような感じがして好きですね。 部長 どんな音楽がお好きなんですか。 松也 何でも聴きます。クラシック、ジャズ、ロック、映画音楽……本当に多ジャンルです。あえてお気に入りの1枚を挙げるなら、ウェザー・リポートというアメリカのジャズ、フュージョン・グループの『ヘヴィ・ウェザー』というアルバムかな。 小僧 おおっ、渋い。さすが本格派! じゃあ、夜は大好きなキャンドルを灯しながらレコードを聴いているんですね。 松也 はい。僕は家ではお酒をまったく飲まないので、キャンドルを焚いて音楽を流して、水を飲みながら夜景を見るのが好きです(笑)。 小僧 そこはワインかブランデーじゃないですか!?と言いたいところですが、水っていうところに松也さんのストイック味を感じます(笑)。 部長 夜景を見ながら英気を養って、『おしどり』で素敵に羽ばたいてください。楽しみにしています!