脚本の技が光る…20年以上変わらない魅力とは?『相棒 season23』考察レビュー。加藤清史郎“創”に抱く期待と心配
毎週水曜夜9時より放送中のドラマ『相棒 season23』(テレビ朝日系列)。国民的人気を誇るご長寿刑事ドラマの“黄金コンビ” が帰ってきた! 杉下右京(水谷豊)×亀山薫(寺脇康文)が、共に事件を追う。さっそく、第2話の内容を振り返っていこう。(文・Naoki)【あらすじ キャスト 解説 考察 評価 レビュー】 【写真】水谷豊&寺脇康文が最高…貴重な未公開写真はこちら。ドラマ『相棒 season23』劇中カット一覧
変わらぬ良さと変わりゆく良さ
亀山薫「俺は杉下右京という人を知っている」 杉下右京「正義は一つだと思いますよ。信じていたものを見失ってしまいそうな瞬間は誰にもあります。そんな時の為に“相棒”がいるんじゃありませんか?」 コンビ結成から10年目の美しき“相棒”がそこにはあった。『相棒season23』第2話「警察官A」後編は変わらぬ良さと変わりゆく良さ、そして事件を通して変わらぬ悪さと変わりゆく悪さ、両面が描かれていた。 まず右京(水谷豊)と亀山(寺脇康文)のコンビの信頼関係が感慨深い。犯人の痕跡を追う中で閉じ込められた亀山と高田創(加藤清史郎)。必死に脱出を考える創だが、亀山は右京が必ず救いに来ると信じて命懸けで犯人の痕跡を見つけ出す。そして右京は亀山の期待に応えるように颯爽と登場し彼等を救うのである。 S4「監禁」S7「レベル4」 他にも様々な場面で亀山は幾度となく右京に救われてきた...。だからこそ、右京は必ず自分達を助けてくれるという説得力が半端ではない。 この変わらない結束は、右京の“相棒”になりたがっていた高田創でもとてもじゃないが敵わない。
変わらない信念の中で微弱な変化がある 長寿ドラマの醍醐味
また今作では、右京も成長しているのが伝わる。 16年前...S7「最後の砦」では強くて過剰な正義で亀山が右京と距離を取った物語が描かれた。それが今回は、正義は一つであると断言しながらも、それを見失った時の為に“相棒”がいるとも語った。 16年前の杉下右京からは決して出ない言葉であり、これを言わせたのは、神戸尊であり甲斐享であり冠城亘の功績であるとも言える。そして同時に正義は複数あると唱えていた小野田官房長(岸部一徳)との永遠の対立もそこにはある。 変わらない信念の中で微弱な変化があるのが長寿ドラマの醍醐味とも言える。これを描けるのが亀山卒業前のS7から現在まで歴代相棒全員と関わってきた徳永富彦脚本だからこそとも言える。