「わんだふるぷりきゅあ!」の売り上げ好調を支える3つの要因と、その裏で見えてきた「子ども」「大人ファン」の共存問題
「追加プリキュア」が登場しない?
また、「追加プリキュアが登場しない」のもプラスに働いているようです。 例年のプリキュアシリーズでは毎年5~6月に「新しいプリキュア」が登場し、物語を盛り上げると同時に「新しい専用変身アイテム」などの玩具も発売され、市場を盛り上げます。 しかし、「わんだふるぷりきゅあ!」では初期に発表された4人のみが活躍し、いわゆる「追加プリキュア」は登場していません。 追加プリキュアが登場しないにもかかわらず、それが売り上げに全く影響していないどころか昨年対比で上がっているのです。 これは、バンダイのおもちゃの販売スケジュールを見てみるとその理由がよく分かります。 2月に「変身アイテム」「妖精アイテム」が、3月に「武器アイテム」が発売され、5月にキュアニャミーとリリアンの新しい変身アイテム「シャイニーキャッツパクト」と専用武器アイテム「アミティリボンタンバリン」が発売されています。 実はこれは、「追加プリキュアがいるときと同じ玩具販売スケジュール」なのです。 すなわち「キュアニャミー、キュアリリアン」が、販売戦略上は追加プリキュアの位置にいるのです。 「わんだふるぷりきゅあ!」は「追加プリキュアがいない」のではなく、「追加プリキュアが最初から発表されていた」といった方が正しいかもしれません。 「追加プリキュア」を最初から発表しておくことにより、多くのメリットが生まれました。 2月の放送開始時点からキュアニャミー、キュアリリアンのグッズ展開ができ、実際にこの2人のグッズは放送開始から売り上げも好調だったようです。 また例年だと、後半になって「新しいプリキュア」が登場すると、お菓子などの食品関係はパッケージをリニューアルする必要があったり、初期メンバーしか描かれていない衣類やグッズが陳腐化して売れなくなってしまうため、それならば最初から全メンバーを発表しておくのは、ある意味合理的なのかもしれませんね。 最初から「追加プリキュア」を発表し柔軟なグッズ展開ができていたのは、少なくとも今作では売り上げ的には有利に働いていたのではないでしょうか。