ルイ・ヴィトン 、コペルニ、ザ・ロウ はパリファッションウィークでいかにアテンションを獲得したか
ニッチを追求したロエベ
一方、パリファッションウィークでは注目を集めるために変わったニッチを追求するブランドもあった。 ロエベ(Loewe)は米国のアーティスト、アルバート・ヨーク氏にインスピレーションを得たアートを中心に据えたコレクションを、お宝鑑定番組『アンティーク・ロードショー』の専門家スティーブン・ムーア出演のTikTok動画で紹介した。3本の動画は3月8日時点で45万回再生されている。ロエベはインスタグラムではキュレーションされたビジュアルを用意しているが、TikTokではそれとは異なるコンテンツを展開する。 ロエベは、特にコラボレーションを通して、その美意識をアートの世界とつなごうとしているようだ。アートとファッションの融合はランウェイにも及び、今シーズンは陶器にインスピレーションを得たというアスパラガスのバッグなどが登場した。これまでも、シーズンのセットデザインで彫刻家のリンダ・ベングリス、バッグやトートで京都を拠点とする陶芸制作のスナ・フジタ、アート展示ではサザビーズ(Sotheby’s)とコラボレーションしている。 「インスタグラムとTikTokの違いを理解し、両方のプラットフォームでそれぞれ異なるコンテンツに力を入れているブランドは非常に少ない」とマリー氏は話す。「コレクションを生み出すだけでなく、各ソーシャルメディアに合うように分解して発信しなければならない」。
ショーが終わったあとも観客の興味を捉え続けられるか
そして、日本のファッションブランド、アンダーカバー(UNDERCOVER)もあった。音楽を一切流さず、喧噪を制しようとしないことで逆に人々の注意をとらえた。 「通常は音楽が始まったときに、ショーも始まる」とマリー氏はいう。「だが音楽に代わって流れたのは物語を語る声で、仕事を持つ普通の女性のある一日について語るデザイナーのナレーションだった」。アンダーカバーは、2024年春夏コレクションではスカート型のテラリウムに閉じ込められた蝶々を演出するなど、ファッションを思索の手段として使うことに重点を置くDNAを持つ。 マリー氏は次のように付け加える。「バイラルな瞬間は人の目を引き、それがフォローにつながるかもしれないが、ここで問うべきなのは『ショーを通して、そしてショーのあとも、観客の興味をとらえつづけられるものは何か』だと思う」。 [原文:How brands battled for attention at Paris Fashion Week] ZOFIA ZWIEGLINSKA(翻訳:SI Japan、編集:分島翔平)
編集部