SNSに溢れる「死ね」 誹謗中傷の連鎖に子供が巻き込まれたら・・・身勝手な“良心”に対処するための2つのステップ
誹謗中傷の3類型
誹謗中傷する人の傾向を分けると、 (1) 誹謗中傷した認識があり、後悔している。 (2) 誹謗中傷の認識があるが、後悔していない。 (3) 誹謗中傷の認識がない。 実は(3)が圧倒的に多いです。誹謗中傷どころか、アドバイスしてあげた認識を持っています。歪んだ正義感を振りかざし攻撃している加害者の自覚がほとんどなく、「この人の考えを正してあげた方がいい。社会に害があるかもしれないし、本人のためにならない」という、ある種の良心に基づいているだけに、問題に気づかない。そこが難しいところです。 そのような人に「誹謗中傷ダメ絶対!」のようなメッセージは届きません。 そもそも正義感を振りかざす場なのか、そうすべき相手なのかを考えてもらう、”思考プロセス”へのアプローチが必要だと思います。
周囲のサポートの仕方
――仮に子どもが加害者になっていることに気づいた時、周囲の大人ができることは、どんなことでしょうか? 最初のステップは、心の中に後悔や反省の気持ちを持ってもらうことです。なぜダメなのかは、大人として伝えられると思います。 次に孤立させないことです。加害者側が社会的繋がりを認識できる状況を作ること、つまり”味方”になる必要があります。この2段階を踏むことがとても大事です。 責任を追及するのは最初の段階まで。その後は絶対に突き放さず、繋がり続けることです。甘やかすことや要求を呑むこととは違うので勘違いしないでください。孤立させずいつでも話ができる状態を作ることが、大人の役目でしょうね。 ――SNSのトラブルに苦しむ子どもの気持ちを捉えるには、どうすればよいでしょうか? 最も大事だと思うのは、”無条件の傾聴”です。専門的トレーニングも経験も限界があります。大人には子どもたちのことはわからない。そんな前提に立って聞いた話のなかに、子どもたちの心の中で実際に起きていることが、ようやく現れてくるのだと思います。 大空さんによると『あなたのいばしょ』への子どもからの相談は、大部分がチャットだそうだ。声の調子や顔の表情がわからないやりとりで内面を読み解くのは難しいだろう。 “上の世代”である自分が、デジタルネイティブのネガティブな書き込みに出くわした時、一旦深呼吸し、まず自分の気持ちを落ち着かせることがとても大事だと思った。
奥寺 健