「100円老眼鏡」を長時間使っていると老眼が進行する!?眼科専門医「老眼鏡は必ずメガネ屋さんで。ただしその前にまずは眼科へ」
◆ルーペは脳が疲れる テレビCMといえば、ルーペ(拡大鏡)の宣伝もよく目にしますね。有名な俳優が出ていたりして、すごくよく見えそうな宣伝です。 その影響なのか、患者さんから「老眼鏡とルーペのどっちがいいんですか?」と聞かれることがあります。 そもそも老眼鏡とルーペでは使用目的がまったく違います。ルーペの機能は拡大することだけです。 例えば少しぼやけて判別しにくい小さな文字があったとします。これをルーペで拡大して見ると、文字が大きく見えるので、小さいときより判別しやすくなります。 このぼやけた文字を判別する作業は脳で行われます。つまり脳に負担がかかるということです。 トレーニングとしてぼやけたものを短時間見るのはよいのですが、長時間ぼやけたものを見ていると、ぼやけた画像を脳が処理し続けないといけないので、眼精疲労の原因にもなってしまいます。
◆メガネ屋の前に眼科に行こう このような理由があるので、老眼が気になって老眼鏡をつくろうと思ったら、メガネ屋さんでつくったほうがよいのです。 ただしいきなりメガネ屋さんに行くのはすすめられません。メガネ屋さんの前に眼科に行ってほしいのです。 老眼鏡が必要になる年齢になると、目の病気が進行している可能性があります。とくに何年も眼科に行っていない人は要注意です。 よくあるのは、老眼だと思って眼科を受診したら、実は片目が緑内障で失明寸前だったというケース。実はこのようなケースは珍しくありません。 メガネ屋さんでは目の病気はわかりません。眼科にはメガネの処方せんを書いてもらうために行くのではなく、目に怖い病気が潜んでいないのかを調べてもらうことが目的です。眼科の医者から問題ないといわれてからメガネ屋さんに行くようにしましょう。 ※本稿は、『名医が教える 新しい目のトリセツ』(エクスナレッジ)の一部を再編集したものです。
平松類