「月3万円の赤字」で生活するシングル高齢者…日本で老いる〈恐しいリスク〉
下流老人、老後破産…なんとも辛い言葉が多くなった昨今。老後の必要なお金、貯められていますか? 本記事では、『家計調査年報』(令和5年)より高齢者のリアルを追っていきましょう。 【早見表】年金に頼らず「1人で120歳まで生きる」ための貯蓄額
人生100年時代「老後はいくら足りないのか?」
老後不安が高まる昨今。「いつまでに何円を貯めなければならないのか?」、具体的なイメージはなかなかできないものです。 “リタイア後に必要なお金の基本は、年金額から生活費を差し引いた差額で考えます。しかし、そこで出てくるのが、「何歳まで生きるか分からない。結局、何年分のお金を用意すればいいの?」という不安です。 「人生100年」とも言われている現代、100歳まで生きることを想定して考えれば、ひとまずは安心です。つまり、65歳から年金生活を送るとして、100歳までは35年間ありますから、(年金の月額マイナス1カ月当たりの生活費)×12カ月×35年で計算してみるのです。非常に大まかではありますが、この金額が分かるだけでもずいぶん違ってきます。”金融広報中央委員会『そこが知りたい!くらしの金融知識』 実際のところ、現在の高齢者はどのような資金繰りで暮らしているのか? 総務省統計局『家計調査年報』(令和5年)より高齢単身無職世帯のお金事情を見てみると、実収入は「12万6,905円」、可処分所得は「11万4,663円」となっています。そのうち社会保障給付が占める割合は93.2%です。 支出について見てみると、消費支出が「14万5,430円」、税金や社会保険料などの非消費支出が「1万2,243円」。あわせて支出額「15万7,673円」となっており、「3万768円」も不足していることが明らかになっています。 【高齢単身無職世帯の家計収支】 実収入 12万6,905円 社会保障給付 11万8,230円 その他(仕送り等) 8,675円 消費支出 14万5,430円 食料 4万103円 光熱・水道 1万4,436円 交通・通信 1万5,086円 ほか 非消費支出 1万2,243円 ざっくりとした老後の赤字額を考えるため、先ほどの『(年金の月額マイナス1カ月当たりの生活費)×12カ月×35年』より、上記の収支を用いて計算してみれば、 (11万8,230円※ ― 14万5,430円)×12カ月×35年= △11,424,000円 ※便宜上、社会保障給付額を年金に相当するものと考えています。 と、赤字分を補うためだけでも1,000万円以上の余剰資金が必要であることが見て取れます。ゆとりのある生活を送りたい場合、さらにお金を貯める必要があるわけですから、確かに「この金額が分かるだけでもずいぶん違って」きたな…と感じるところです。