混戦のJリーグ 台風の目はFC東京とガンバ大阪
開幕直後から不振にあえいできたガンバは、中断前にはJ2降格圏内の16位にまで順位を下げた時期もあった。エース候補のFW宇佐美貴史が左足の故障で長期離脱を強いられたこともあり、日本代表のボランチ遠藤保仁をFWで起用する苦肉の策に打って出たこともある。 だからこそ189cm、82kgのサイズを誇り、フロンターレやヴァンフォーレ甲府でもプレー経験のあるFWパトリックの加入が大きいと水沼氏は言う。「テクニックに長けた選手が多いチームへ、パワーと高さが加わった。パトリックは馬力もあるが、足元の技術は決して高くない。ガンバというチームにフィットするのかという懸念はあったけれども。パトリックの破天荒ぶりがいい意味で変化を与えているからサッカーは面白い。復帰した宇佐美が柔軟なプレーを身上としている分だけ、パトリックの縦への強引なまでの推進力が生きている」。 中断明けからは「剛」のパトリックと「柔」の宇佐美のツートップにけん引される形で、ガンバは怒涛の5連勝をマーク。連勝の間は15得点に対して1失点と攻守が絶妙のハーモニーを奏で、宇佐美をして「点を取られる気がしない。1点取れば勝てる」と言わしめた。 16日の名古屋グランパス戦こそ0対1で苦杯をなめ、6連勝を阻止されたが、失点は守備組織が崩されて喫したものではなかった。3連覇を狙うサンフレッチェ広島と勝ち点30で並び、得失点差で上回っての7位。レッズとの勝ち点差は「10」あるが、決して不可能な差ではないと宇佐美は力を込める。 「連勝はいつか止まる。また次から勝てばいい。悲観する必要はまったくない」 鮮烈復帰後の12試合で5ゴールをあげている宇佐美にも、水沼氏は注目している。とにかくシュートが上手いし、足の振りもシャープで鋭い。テクニカルなループシュートを決めたかと思えば、キーパーが動けない位置を豪快に打ち抜くパワー系の一撃もある。ぜひとも宇佐美も日本代表に推したい。アギーレ監督の4‐3‐3で考えれば、面白そうな選手がかなり出てきたと思う」。