待望のボーナス 現金のままでは目減り インフレに強い資産に換える「賢い運用方法」
では、株式のほうはどうなのだろうか? NISA(少額投資非課税制度)の口座獲得のためにキャッシュバックなどのキャンペーンを開催している金融機関も少なくない(表)。深野さんは指摘する。 「オール・カントリー(オルカン=世界株式の平均的推移)に連動するインデックスファンドのように、より多くの人にとって無難な選択肢となる投資信託を取り揃えているなら話は別ですが、そうでなければキャンペーン特典につられてNISA口座の開設先を選ぶのは考えもの」 さらに、タイミングを見計らう必要のない積み立て以外の投資は慎重なスタンスで臨むのが無難な局面だと深野さんは説く。 「減税と関税強化といったように、トランプの政策はアクセルとブレーキの組み合わせで影響を予測しづらい。少なくとも、就任してしばらくは様子見が賢明かと思われます」 だとすれば、比較的安全確実な運用でインフレに負けないことは可能なのか? 「それを実現しうる選択肢として、現時点で唯一の存在だと言えるのがソフトバンクグループの社債です。もっとも、残念ながらすでに間に合わない可能性が高いでしょうね」(深野さん) 社債とは、企業が資金を調達するために発行する借用書のようなものだ。社債を購入すると定期的に所定の利率の利息が得られ、満期(償還)時に額面分の金額(払い込み額)が戻ってくるのが一般的だ。 ■3%超えもあったが… 今回、ソフトバンクグループが発行する第64回無担保社債(愛称:福岡ソフトバンクホークスボンド)もそのパターンである。7年満期、100万円以上100万円単位の申し込みで、年3.15%という高利率なのだが、募集期間は11月28日~12月10日。本誌発売日に記事を見て証券会社に駆け込んでも、すでに募集総額に達して売り切れとなっている可能性も高い。 発行元の企業が経営破綻に陥ると社債が紙クズと化すことも考えられるが、ソフトバンクグループの格付け(信用力)は「投資適格」とみなされるシングルA(日本格付研究所の評価)。たとえば、東京電力パワーグリッドが10月に発行した第78回社債(満期10年)が年1.706%であったように、同程度の格付けで3%超えの利率をつけるものは見当たらない。 ちなみに、国内の債券の中で最も信用力の高い個人向け国債(満期10年)の利率は年0.71%(変動金利)。こちらは今後の利上げが反映されるものの、出発地点の利率に見劣りが……。ただ、ソフトバンクグループは今年6月にも年3.03%の第63回無担保社債(申し込み期間:6月3~13日)を発行していたので、第65回の登場に期待を寄せるのも一考かも?