米農業団体、トランプ氏の不法移民送還から働き手除外希望
Leah Douglas Ted Hesson [ワシントン 25日 ロイター] - トランプ次期米大統領が公約通り不法移民の大量強制送還を実施すれば、不法移民に大きく依存している国内の食料供給が混乱を来すとして、農畜産業団体は同産業の働き手が送還対象から除外されることを望んでいる。 米労働省と農務省によると、米国の農業従事者約200万人の半分近くが法的な在留資格を有しておらず、酪農と精肉業でも多くの労働者が同じ状態だ。 トランプ次期政権チーム当局者らは今のところ、不法移民の強制送還に例外を設けるとは表明していない。 トランプ氏が「国境管理責任者」に起用する意向を示したトム・ホーマン元移民・税関捜査局(ICE)局長代行は、移民取り締りは犯罪者と最終的な国外退去命令を受けた人々に焦点を当てるが、不法滞在する移民は例外なく対象になると述べている。 農家は意欲や能力のある米国人労働者が足りないことを証明できれば、「H―2A」ビザ(査証)制度を通じて季節労働者を無制限に雇えることになっている。この制度の利用は年々拡大してはいるが、多くの農家は制度が定める賃金や住宅に関する要件を満たせない。1年を通じて労働力が必要なため、季節労働者を対象とするこのビザを利用できない農家もある。 このため農家のロビー団体は、より多くの農業従事者が合法的に働けるような制度改正を望んでいる。 ミシガン州立大学のデービッド・オーテガ教授は、不法移民が大量に強制送還されれば、食品のサプライチェーン(供給網)に衝撃が走り、生鮮食品価格は上昇するとの見通しを示した。