「梅酒は店で買うのが当たり前になる」 販売から15年、倒産寸前の「チョーヤ」を救った時代の転換 市場競争を勝ち抜いた本物の味
梅酒発売から15年、倒産寸前の会社を救った「核家族化」。さらに時代に合わせた容器で大ヒット!
梅酒が売れないまま15年以上たった1975年、ある変化が。なぜか急に梅酒が売れはじめたのです。それは、急速に核家族化が進み、家に作り手(主におばあちゃん)が不在になったからでした。共働きの家庭も増えて、家庭での梅酒づくりが下火になったところにCMを打ち続けていたことで「梅酒は買える」という認識が浸透していたのです。「梅酒は作るものから買うもの」へ。とうとう、時代が追いつきました。 さらに、容器の形状をつぼ型からスリムな容器に改良した「紀州」を発売。以前は押入れなどで保管していた梅酒を、当時普及していた冷蔵庫のドアポケットに収まるサイズに変更。開けるたびに目につくことが消費につながり、発売初年度から年間100万本を超える最大のヒット商品になりました!
梅酒市場の競争激化で再びピンチ!売り上げ減少も、こだわり続けた本物の味
しかし、そんなチョーヤに再び危機が訪れます。大手酒造メーカーを含めた他社が梅酒市場に続々と参入したのです。これにより価格競争が激化し、売り上げが落ちてしまいました。 中には少ない梅の数で酸っぱさを出すために、酸味料を加えて価格を抑えていたところもありました。一方のチョーヤは無添加の「梅・砂糖・酒」のみの本格梅酒を作り続けていたため、大量に梅を必要とするため価格を下げることは不可能でした。 そんな中、社員から低コストの梅酒作りをしないかという提案が…和夫は「私たちだけがこだわり続けてきたからここまで来れた。本来の梅酒の美味しさを伝えることが使命だ。」とそれを許しませんでした。 さらに、和歌山の梅農家約6500戸のうち約4000戸から梅を供給してもらっているチョーヤが梅の量を減らすことは、強い絆で結ばれた農家への裏切りとなると同時に、日本の梅文化を衰退させると考えたのです。元は農家から始まったチョーヤは、農産物の大切さを知っているからこそ価格競争には乗らず本格的な梅酒の味わいを守り続けたのです。
若者にも刺さるよう、次々とヒット商品を開発。「体験」型も人気に。
こうして他社に対抗するべくとった作戦は…「梅酒のイメージを変える」。これまでは年配の世代が飲む「健康酒」のイメージが強かった梅酒。それを若者にも飲んでもらえるよう「食前酒」という新たな飲み方で打ち出すべく、若者世代に刺さる商品を続々と開発します。 1987年には日本初の缶入り梅酒ソーダ「ウメッシュ」、89年にはオシャレで鮮やかな見た目の赤い梅酒「ペリーラ」、さらに96年にはアルコール度数を下げ、甘さも控えめに飲みやすさを重視した「さらりとした梅酒」などを発売し、若い世代も日常的に飲むお酒として20代~40代女性の新規顧客層を獲得します。こうしたヒット商品の連発により「梅酒といえばチョーヤ」という確固たる地位を確立しました。 最近では、「体験」を重視。梅酒や梅シロップ作りが体験できるお店として、京都に梅体験専門店「蝶矢」を開業。若い世代の方に楽しんでもらい、拡散を通じて梅の良さをより多くの人に知ってもらいたいという狙いが当たり、予約が殺到しています。 こうして梅が消費され、いずれは梅農家の後継者問題の解消につながればと、チョーヤは考えています。 そんなチョーヤのもしマネポイントは「成功しなかったら人生をあきらめろ!」。「諦める」はネガティブではなく、目標に向かって諦めがつくまで努力をしたかが重要だと金道さん。ブドウ酒から梅酒に切り替えた時に多くの労力と資金を費やしても、諦めがつくまで努力をした結果、今があると語ります。
番組情報
〇番組名 日経スペシャル もしものマネー道もしマネ 〇内容 『もしもの時』に備えるマネー道!マネー活用バラエティ! 〇放送日時 テレビ大阪 第1~3日曜日 午後2時放送!放送終了後はYouTubeチャンネル、TVerで無料見逃し配信中。 (まいどなニュース/クラブTVO編集部)
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