【エリザベス女王杯】トラックバイアスから分かる「買ってはいけない馬」「買うべき馬」/府中牝馬S編
内が伸びる芝、外差しが決まる芝…。馬場はまるで生き物かのように、日々変化する。そこから生じる馬場の傾向が「トラックバイアス」。朝から芝に足を踏み入れてコンディションを確かめるジョッキー、調教師…。彼らはそれが競馬の勝敗に影響を与えることを分かっている。当然、予想のファクターとしても軽視すべきものではない。当欄はトラックバイアスから〝レースの真実〟を解き明かし、買うべき馬、買うべきではない馬をあぶり出すのがテーマだ。
【府中牝馬Sのトラックバイアス】
秋の東京開催2週目に行われた府中牝馬S。開幕週こそ雨にたたられて、若干馬場が悪化したが、夏の3か月を寝かせた芝は良好で、牝馬S当日の1勝クラス・芝マイル戦では1分32秒7という速いタイムが記録されている。 この日、府中牝馬Sまでに行われた芝競走の1~3着馬が内ラチから何頭目を走ったかの平均値は以下の通り。 1着馬=3・4頭目 2着馬=4・4頭目 3着馬=6・4頭目 内ラチをついて勝った馬が2頭出るなど、全体的に内が伸びる馬場だった。
【買うべき馬】ルージュリナージュ
大外15番からゲートを切ったこの馬。道中はすぐに内めに入れてロスを最小限にとどめたが、直線では馬群がバラけて大外へ。さらに半ばでは前にいた2着シンティレーションが若干外に膨れてきたせいで、最終的には内ラチから15頭分ほど外を走るハメに。この日、馬券内に入った馬で最も外を走ったのが内から9頭目のカシオペア(3着=2R・2歳未勝利、芝1400メートル)。本馬がどれだけ外を回ったかが分かるだろう。 前後3ハロン35秒1→34秒1の後傾ラップとなった府中牝馬S。内が伸びる馬場、かつ前が止まらないペースで、大外から追い込んで5着はかなり優秀だ。2着シンティレーションも外めを差してきているから悪くないのだが、よりインパクトが強いのはこのルージュリナージュだ。
【買ってはいけない馬】モリアーナ
勝負どころではルージュリナージュと大差ない位置にいたこの馬。直線では大外に行ったルージュに対して、こちらは馬群の中に突っ込む形。詰まる怖れもあったのだが、うまくスペースが確保できてビッシリ追えていた。ルージュに比べてロスなく運べ、かつ伸びる内を選択できて、不足なく追えた割に、ルージュに0秒3負けの8着ははっきり言って物足りない。この馬を買うのなら、その分、ルージュリナージュを買い足すほうがよっぽどお買い得だ。
東スポ競馬編集部