韓国の年金、再就職で12万人が減額対象に…高齢者の労働意欲に懸念
【08月15日 KOREA WAVE】韓国で退職年齢後に再就職し、一定額以上の収入があるために国民年金の支給額が減額された受給者が、2023年上半期時点で約12万人に達していることが国民年金公団の資料で判明した。減額された総額は1350億ウォン(約135億円)に上る。 この年金減額制度は、特定の受給者に対する過剰な保障を防ぐために導入されたが、超高齢社会において高齢者の労働を促進すべき現状とは相反するとの批判がある。 老齢年金の減額額は、受給者の増加とともに毎年増加傾向にある。2020年の減額総額は1699億4100万ウォン(約170億円)だったが、2021年には1724億8600万ウォン(約172億円)、2022年には1906億2000万ウォン(約191億円)に増加し、2023年には2167億7800万ウォン(約217億円)に達した。今年上半期の減額総額は1347億4300万ウォン(約135億円)で、すでに前年の半分を超えている。 現行の国民年金法では、60歳から65歳の間に再就職や事業などで一定基準以上の収入がある場合、その収入に応じて老齢年金が減額される仕組みとなっている。具体的には、受給者の収入が国民年金全加入者の3年間の平均月収額(2023年は298万9237ウォン、約30万円)を超える場合、その超過所得に応じて老齢年金が減額される。 こうした年金減額制度は、国民年金財政の負担を軽減するための措置だが、高齢者の労働意欲を削ぐことになりかねないとの懸念がある。そのため、経済協力開発機構(OECD)はこの制度の廃止を推奨しており、韓国政府も昨年10月に発表した「第5次国民年金総合運営計画」において、老後の所得保障を強化するために減額制度の廃止を進める方針を明らかにしている。 (c)KOREA WAVE/AFPBB News
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