昭和から続く「レトロコスメ」ロングセラー化粧品に再注目
定番の安心感、容器のデザインに懐かしさ
昭和時代から製造・販売が続くロングセラー化粧品が「レトロコスメ」として再注目されている。定番商品ならではの安心感や、変わらぬ容器のデザインが若い世代にも魅力的に映っているようだ。 「アロエメイツ」をキャッチフレーズにした屋外広告が今年、東京や大阪の駅などに登場した。ミニスカート、ポロシャツをまとい、ポンポンを持つ女性の姿が昭和の歌番組を思い起こさせる。 「ウテナ」(東京)が1983年に発売したアロエエキス配合の化粧水「ウテナモイスチャー」の広告。ロングセラーの魅力を昭和のレトロ感とともにアピールした。発売時から愛用する60~70歳代だけでなく、若い世代にも訴求する狙いがある。今年の春には「絶滅危惧化粧品」として広告を展開した。 なで肩のすりガラス瓶も当初から変わらぬデザイン。「ボトルパッケージがエモい」「昔からあるものが良かったりするんですよね」といった反響が同社のSNSに寄せられた。広報の則包裕美さんは「思い出とブランドが結びつき、支持が広がっているのを実感した」という。
資生堂の基礎化粧品「ドルックス」シリーズは32年の販売開始。化粧水やナイトクリームなどがある。主成分は水やグリセリンなどシンプルで、化粧水(150ミリ・リットル)が660円と手頃な価格も特徴だ。 四角い瓶の洗練されたデザインに懐かしさを感じる人もいるようだ。東京都内の50代女性は「ドラッグストアで見つけた時、祖母の鏡台に置いてあったことや、子どもの頃に化粧品店へおつかいに行っていたのを思い出した」という。同社のブランド担当者は「法規制の改正などで成分やデザインの一部は変えても、基本的に発売時と変わらないつくりにしている」と語る。
リモート会議の普及とともに若年層から支持を集めているのはロゼット(東京)の「ロゼット洗顔パスタ」シリーズ。ニキビに悩む女性たちのためにと29年に登場した。「画面越しにアップで顔を見せる際、肌の状態が気になる人から再注目されているようだ」(同社)という。SNSでの口コミ効果も広がっているという。 美容総合サイト「アットコスメ」では、「ロングセラー」「安心」「安全」といった言葉に配合成分の名称などを組み合わせて、口コミを検索する例が目立つという。同サイトのリサーチ担当、西原羽衣子さんは「景気が振るわない時代、手軽な価格帯と廃番にならない堅実さに魅力を感じているのではないか」と分析する。(読売新聞生活部 上原三和)