ロシア議員、戦略的ビットコイン準備金の創設を提案
ロシア議員が戦略的ビットコイン準備金の創設を提案
ロシアの下院議員が戦略的なビットコイン準備金の創設を提案していることが、同国の国営通信社「RIAノーボスチ」により12月9日に報道された。 道によるとこの提案は、2020年に設立された新人民党のアントン・トカチェフ(Anton Tkachev)氏によって、ロシアの財務大臣アントン・シルアノフ(Anton Siluanov)氏に対して行われたものであるとのこと。 トカチェフ氏は、伝統的な通貨準備高は、為替変動、制裁の影響、インフレの影響を受け、国家の財政安定に脅威をもたらす可能性があるため、各国に依存しない外貨準備の代替手段としてビットコインによる準備金を導入する必要があるとしている。 またトカチェフ氏は提案の中で「制裁下にある国々は従来の国際決済システムへのアクセスが制限されているため、暗号通貨は事実上、国際貿易における有力な手段となりつつある。ロシア中央銀行はすでに、暗号資産によるクロスボーダー決済の実験を開始する準備を進めている」と述べている。 トカチェフ氏はビットコインのリターンについても注目しており、ビットコインは2020年1月時点で、その価値は1万ドルであったが、2022年1月には約4万ドル、2024年12月には10万ドルになったことから、ビットコインは価値を維持するためのツールであるだけでなく、多大な利益を得る機会としても機能すると強調しているとのことだ。 ●日本でも準備金に暗号資産の導入意見 また日本でも「NHKから国民を守る党」の浜田聡参議院議員が、暗号資産(仮想通貨)による準備金の創設について、政府へ質問主意書を提出した。浜田議員の公設秘書が12月11日にXの投稿にて文書の内容とともに公表している。 この質問主意書は、米国、ブラジルを始めとする諸外国におけるビットコインをめぐる動きについて、政府の把握状況及び見解を示すよう政府に求めており、また日本でも外貨準備金の一部にビットコイン等の暗号資産を導入すべきであるとし、政府の見解を求めるものである。 浜田議員は質問主意書で、米国がトランプ次期大統領により「戦略的な国家ビットコイン準備金」の実現に向けて動いていることや、ブラジルでもビットコイン準備金の法案が提出されたことから、「ビットコインは『デジタルゴールド』から『国家戦略資産』へと進化する可能性が極めて高く、デジタル資産市場に絶大な影響を及ぼすことが予想される」と述べている。 また「ビットコインは、プロトコルやコードがオープンソースとして公開されており、透明性が高く、現時点において特定の国や機関の影響を受けにくいという特徴がある。また、中立性と非中央集権性を備えた資産として、特定の通貨に依存しない形で国家間の経済活動を支える重要な役割を果たし得るなどの意見も出ている」と述べ、政府にビットコインなどの暗号資産を国家準備金として導入するべきだという根拠を示している。
田村聖次(幻冬舎 あたらしい経済)