インデックスファンドの積立投資にプラスαを乗せる分散投資、「半導体」の次は?
このような世界経済の流れを株式市場は、如実に表現している。2020年3月を大底にしての株価の回復局面で市場を主導したのは、一貫して米国株式だった。中でも、ハイテク大型株の比率が高い「NASDAQ100」や「S&P500」の上昇が目立った。そして、「ChatGPT」の登場以降は、AI向け半導体の世界的なリーダーと目されていた米エヌビディアの上昇に拍車がかかり、2023年にはエヌビディアを含む米国ハイテク大手7社を「マグニフィセント・セブン(GAFAM=グーグル、アマゾン、フェイスブック、アップル、マイクロソフト)+テスラ、エヌビディア)(=M7)」といわれる7銘柄への集中投資が起き、「S&P500の上昇の80%はM7の株高で説明できる」とまでいわれた。
世界の株式市場は、米「S&P500」を軸にした米国株主導の展開が続いた。「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」は、新興国も含む全世界の株式市場を対象とした株価指数「MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス(ACWI)」に連動するインデックスファンドだが、時価総額の大きな企業の組み入れが多くなる仕組みとなっており、「MSCI ACWI」に占める米国株の比率は6割超に達している。過去数年の「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」の上昇に、米「S&P500」の上昇の影響は、非常に大きかったと言わざるを得ない。
過去1年間のパフォーマンス上位投信には、この市場の動きが色濃く出ている。トップの「野村 世界業種別投資シリーズ(半導体)」は、文字通り、半導体産業の隆盛を映している。中でも、組み入れ筆頭銘柄のエヌビディアの株価上昇が、同投信のパフォーマンスを大きく引き上げたといえる。半導体関連産業には、よく知られている「シリコンサイクル」という好不況の波がある。半導体の製造には莫大な設備投資が必要で、その設備の更新にあたって設備投資負担や旧式半導体の在庫増や値崩れのために、半導体関連企業の業績が大幅に悪化する傾向がある。かつては3年~4年のサイクルが指摘されていたが、近年はこのサイクルが短期化しているという指摘もある。直近では、2022年第1四半期(1月-3月)がサイクルのピークで、2022年の後半に市況が悪化し、2023年第1四半期を底にして回復し始めている。2023年のエヌビディアの上昇は、「ChatGPT」によるAI実用化の期待とともに、シリコンサイクルの回復も後押しした。