「グッドマンは泣いて出場を訴えた」井上尚弥はなぜ“1カ月延期”を受け入れたのか? 試合10日前に異例の決断「代役を立てる可能性もあったが…」
「動画配信時代」の恩恵か
ただ、この決定はグッドマンを気遣ってなされたものではもちろんあるまい。適切な代役の手配が難しかったのと同時に、井上陣営にはここで2つの世界王座統括団体の指名戦をクリアしておきたいという意思があったに違いない。世界戦が地上波テレビで放映されていた時代であれば日程を動かすのは至難だったはずだが、動画配信時代の現在はそれがよりフレキシブル。有明アリーナを来年1月下旬に利用できたことも大きく、1カ月後という短期スパンで延期に至った。 主催者の準備、努力のおかげで、状況を考えれば最善に近い形のリカバリーがなされたのだろう。 もちろん、さまざまな意味でのダメージがないわけではない。あくまで個人的な思いだが、井上の“2024年は1年3戦”というプランが霧散したのは残念だった。 現代のトップボクサーは年に1~2試合をこなすことが常とされ、リング誌のパウンド・フォー・パウンドでトップ10に入る選手でも今年3戦を行ってきたのは中谷潤人のみ。そんな時代において井上、中谷が2024年をどちらも3勝3KOで終えていれば、日本ボクシングの“黄金期”を誇示するまた新たな材料となっていた。1カ月の延期で年が変わり、そのチャンスが失われたのはやはり口惜しくはある。 また、さらに重要な要素として、10日後に向けたピーキングを行っていた選手たちのコンディションが少々懸念されるところではある。上記通り、メインイベントだけに限らず、出場選手は一度ペースを落とした上でまた上げていかなければならない。 「楽しみにしてくれていた方々には申し訳ないです。 また新日程で足を運んで頂ければ嬉しいです!! ! お互い最高の状態で闘おう」 延期決定後、SNS上でそんなメッセージを残したモンスター。王者が圧倒的優位と目された今戦で、大番狂わせの線が少しでも出てくるとすれば「何か不慮のアクシデントがあった時」という見方が一般的だった。直前の延期がそれに値するかはわからないが、31歳になった井上の調整とウェイトコントロールが注目される。
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