新NISAで人気のインド株投信・ETF 専門家が注目する「3銘柄」とテーマ型投信の「リスク」とは
■景気の波に左右されやすい 「今はまだ新興国の位置づけであることに変わりはありません。そのため、経済の動向は世界全体の景気の波に左右されやすい。『インドがどうしても好き』といった強いこだわりがないようなら、投資先はインド一国に集中するのではなく、あくまで今後の成長が期待できる国や地域の一つとして位置づけるべきでしょう」(横山さん) 一般的に、欧米などに比べて市場規模が小さい新興国の株価の値上がり幅は大きい一方で、値下がりに転じた場合の振れ幅も大きくなりやすい。世界株型や米国株型といった投信などを柱に据えたうえで、「プラス・アルファ」の投資先の一つとしてインド株ファンドを加えるような方法がお勧めという。 ■経済や政治動向があまり報じられず インドの経済や政治の動向が、普段あまり報じられない点もリスクの一つだ。6月4日に開票されたインド議会下院選挙などの大きなニュースを除くと、国内で把握できる情報は少ない。何か起きた時に機動的に対応できない可能性があることも頭に入れておくべきだ。 では、こうした点を踏まえたうえで、新NISAで投資する場合、どんな商品がよいか。横山さんが注目する銘柄を挙げてもらった(上の表参照)。 「まず純資産総額が多いかどうかや、運用期間が長いかどうかに注目するとよいでしょう。純資産総額はそのファンドに投資家のお金がどれだけ集まっているかを意味します。また、運用期間が長いということは、それだけの実績があるということ。インド市場には前述したようなリスクがありますから、実績のある商品ほど安心と言えます」
■メリットとデメリットを知る 一つが、大和アセットマネジメントが運用する「iFreeNEXT インド株インデックス」だ。Nifty50指数に連動した運用成果をめざす投信で、ETFを除いたインド株投信の中では指数連動型の商品の先駆けとされる。 23年3月に設定され、約1年後の今年3月には純資産総額が1千億円を突破した。「インデックス型なので運用中にかかる信託報酬が安い」(横山さん)点が特徴だ。 続いて、HSBCアセットマネジメントが運用する「HSBC インド・インフラ株式オープン」は、その名の通り、インドのインフラ関連銘柄に投資するアクティブ型の投信だ。組み入れ上位銘柄には、同国の建設エンジニアリング大手や大手財閥企業、通信、電力、ガス会社などの名が並ぶ。 設定は09年10月と15年近い実績があり、運用成績もよいという。今年4月末時点では直近1年の騰落率はプラス82.2%で、3年だとプラス178.7%に達する。 野村アセットマネジメントが運用する「NEXT FUNDS インド株式指数」は東証に上場するETFだ。投資コストが安く、値動きがわかりやすいといった、ほかのETFと同様のメリットのほか、デメリットもある。 投資を考えるうえで心にとめておきたいのは、特定の新興国や業種の株に投資する「テーマ株投信」は、人気のある間に資金が流入し、値上がりが進んでいるものも少なくない点だ。高い値段で買った後に値下がりし、損が膨らんでしまうケースもある。 自分の投資スタイルや考えに合っているかもよく見極めて検討したい。 (ライター・池田正史)
池田正史