スキー場は滑るだけじゃない、新しい楽しみ方が続々 急増するアジアからの「ノンスキーヤー」を引きつける仕掛け
熱を帯びる訪日客需要
新型コロナ禍が明け、インバウンド(訪日客)需要が熱を帯びる中、2024~25年の本格的なスキーシーズンが幕を開ける。上質のパウダースノー(粉雪)を求める客層に加え、近年は雪が降らないアジア諸国からの「ノンスキーヤー」も増加。長野県内の索道事業者はあの手この手で、外国人客を引きつける策を練っている。 【写真】銀世界の上を空中散歩、リフトから眺める雪化粧した山々の絶景
6日朝、長野県北安曇郡白馬村のエイブル白馬五竜スキー場。山頂コースを滑っていた横浜市の会社員山中大輔さん(29)は「今朝の雪は軽くて最高に滑りやすい」と爽やかに笑った。コースには外国人の団体客の姿が。10年近く白馬エリアに通っているという山中さんは「ここ数年、シーズン序盤でも外国人がどっと増えた印象です」と話す。
利用者数はコロナ下の落ち込みから回復基調
県のまとめでは、23年11月~24年5月に営業した県内78カ所のスキー場利用者数は延べ582万4千人で、前季比2・3%増。バブル期の1992年度には2千万人を超えたが、2003年度以降は1千万人を割り込み、コロナ下の20~21年冬季は367万人に落ち込んだ。以降は回復基調にあり、今冬季にどこまで増えるか注目される。
狙いは初心者や家族連れの訪日客
大町市の爺ガ岳スキー場は、センターハウスからリフトの間に、新たに全長約40メートルのスノーエスカレーターを約2千万円かけて整備。狙いは初心者や家族連れの訪日客だ。近年、アジア圏の来場者が急増。フィリピンなどから大所帯の家族連れが訪れ、家族層向けの緩斜面コースと好相性だ。運営する大町温泉観光の大塚剛社長(58)は「インバウンドは将来、利用客全体の4割ほどになる可能性がある」と期待する。
たき火に当たれるテントや氷の滑り台
白馬村の白馬岩岳スノーフィールドでは、21億円を投じて建設した新ゴンドラリフトの開業を20日に控える。香港や台湾、東南アジアの来場者の増加が顕著で、昨季のノンスキーヤーの比率は全体の15%(約2万2千人)だった。運営会社の星野裕二社長(58)は「この傾向は今後も続く」とし、今季はたき火に当たれる煙突付きテントや氷の滑り台を山頂に設ける。