“LUUP”が観光客の二次交通の一助となるか? 公共交通が衰退する「地方の移動問題」に取り組む
電動マイクロモビリティのシェアサービスを展開するLuupが、地方や団体が抱える移動課題に貢献する新たなサービス「LUUP for Community」の提供開始を発表した。人口減少に伴い公共交通が衰退しつつある地方では、地元住民や観光客の移動にさまざまな課題が起きており、地域経済の疲弊の一因ともなっている。かたや都市部では昨年7月の道路交通法改正以来、一部のルール違反者により電動キックボードに厳しい目が向けられている。その矛先を向けられることも多いLUUPだが、地方の移動課題にどのように向き合うのか? 併せてLUUPを試験導入した福井県・おおい町にも話を聞いた。 【画像】田んぼの真ん中や水の中まで!? LUUPで移動がアクティビティに
■観光地あるある「徒歩では遠く、車では近すぎる」移動と深刻な地方の2024年問題
若狭湾に面した福井県・おおい町は人口8000人程度とコンパクトながら、海・山・史跡といったスポットの点在する風光明媚な町だ。2022年には複合商業施設「SEE SEA PARK」がオープンし、観光客はもとより地元住民にも人気となっている。 今年5月からは「SEE SEA PARK」を含む観光スポットが集積した「うみんぴあ大飯エリア」を中心に、電動マイクロモビリティのシェアサービス「LUUP」の提供が始まった。同町では昨年7月~今年2月にも実証実験の形で同サービスを導入しており、その成果を受けて再導入した形だ。 「うみんぴあ大飯エリアにはホテルやマリーナ、道の駅など“徒歩では遠く、クルマ移動には近すぎる”スポットが点在しています。そのため施設間の人流を活性化させるのが難しく、機会損失をしているスポットもありました。また今年3月には北陸新幹線が敦賀駅に伸長し、JR線で当町を訪れた観光客の二次交通(※1)の確保も課題の1つでした。さらに多くの地方自治体さんと同様に2024年問題(※2)にも直面しており、地域住民にも十分な公共交通を提供できているとは言えません」(おおい町観光課・常木尊也さん) Luupでは、主に人口の多い都市部で電動マイクロモビリティ(電動キックボード、電動アシスト自転車)のシェアサービスを展開してきたが、事業を通して全国の地方自治体から「地域住民に自家用車以外の移動手段がない」「公共交通手段が少なく、思うように観光客を集められない」といった移動課題の声とともに、LUUP導入の問い合わせが多く寄せられてきたという。 「6月より本格提供が始まった『LUUP for Community』は、地方が抱える移動課題解決を支援するサービスです。本格提供に先立ち、道路交通法が改正された昨年7月より全国21ヵ所の移動課題を抱えた自治体や団体で、小規模な実証実験を行なってきました。おおい町さんもその一例です。その結果、『観光エリア内の周遊性が高まった』『地元住民の移動困難が改善された』『従業員の施設内移動が便利になった』などのお声を頂き、一定の寄与ができる手応えを得られたことから、本格提供の開始に至りました」(Luup「LUUP for Community」サービス担当 鈴木尉大さん) ※1/駅等から目的地に行くまでの交通手段 ※2/自動車運転業務の労働上限規制に伴うバス・タクシーなどのドライバー不足