“LUUP”が観光客の二次交通の一助となるか? 公共交通が衰退する「地方の移動問題」に取り組む
■都市部では批判対象にも…一方、地方の非ユーザーはLUUPをどう見ているか?
昨年7月の改正道路交通法により、都市部でたちまち普及した電動キックボード。しかし一部のマナー違反者によって、交通安全が脅かされているとの批判もあり、その“流れ弾”を受けるようにLUUPに対しても厳しい目が向けられることもある。 「LUUP for Community」のポート(停車所)が設置されるのは、地域の施設や観光スポット、ホテルなどある程度限定されたエリア内であり、無数にポートのある都市部のようなユーザー/非ユーザー間の軋轢は起きにくいかもしれない。それでも地域の暮らしを守るための交通安全対策は必須だ。おおい町では「これまで特にトラブルはない」とのことだが、どのような対策を行なってきたのだろうか。 「利用登録に際して『LUUPアプリの交通ルールテストを全問連続正解する』といったレギュレーションは、都市部と同じです。また導入前には試乗会と交通安全講習会を実施しました。加えて、当町では設置場所でヘルメットの貸し出しをしており、雪の日には利用を停止するなど、状況に応じた対応もしています。 ただ大前提として、当町の提供エリアは道幅が広く道路もシンプルです。クルマ社会とはいえ都市部に比べたら交通量も少なく、混雑するのは通勤時間帯くらい。ちなみに昨年度の実証実験では、うみんぴあの施設の営業時間内に利用されることがほとんどで、通勤ラッシュとバッティングすることもありませんでした。総じて感じるのは、都市部よりも地方のほうが電動キックボードや自転車もゆとりを持って走れるのではないでしょうか」(常木さん) Luupによると、ポートを設置する場所は、要請エリアのニーズに添いつつ、現地の警察から交通事情などのアドバイスを仰ぎながら決めていっているとのことだ。観光客が利用のメインであると思われていたが、うれしい誤算もあった。 「実証実験では走行しやすいルートと観光スポットを組み合わせた“おすすめルートマップ”を配布する自治体もありましたが、これは1つには地元住民の生活圏を守る取り組みにもなったと思います。 昨今、オーバーツーリズムを起こしている観光地で地域住民の“足”が奪われているとの指摘もありますが、この問題も移動手段の選択肢を広げることで一部改善されるのではないかと思います。たとえば路線バスは地元住民が主に利用し、観光客はLUUPで移動するといった棲み分けができれば、地域住民と観光客が上手に共存できるのではないでしょうか」(Luup 鈴木さん)