トヨタ、「足場固め」で今期営業益2割減予想-市場予想下回る
(ブルームバーグ): トヨタ自動車は8日、今期(2025年3月期)営業利益は前期比20%減の4兆3000億円を見込むと発表した。トヨタはグループ会社の不正などを受けて足場固めに注力しており、減益なら2期ぶりとなる。
ブルームバーグが事前に集計したアナリスト20人の予想平均値(5兆3424億円)を大きく下回った。発表資料によると、為替の前提を前期実績と同様1ドル=145円としたことなどで為替変動による押し上げ効果が550億円にとどまる一方、サプライチェーン(供給網)の基盤強化に伴う費用や成長領域への投資拡大、労務費の増加などが大きな利益下押し要因になる。ダイハツ工業や日野自動車を含むグループ世界販売台数は前期比約1.3%減少すると見込んでいる。
トヨタは前期(24年3月期)営業利益が5兆円超と円安や半導体不足の緩和に伴う生産回復の追い風を受けて過去最高を更新した。そうした中でも子会社のダイハツ工業などグループ会社で相次ぎ認証不正が発覚したことや生産回復に伴い現場に高い負荷がかかったことを受け、会社側は時間とコストをかけて余力づくりや品質向上に向けた取り組みを進める方針だ。
トヨタの佐藤恒治社長は都内で開いた会見で、課題に向き合って足場固めに取り組むことが「将来の成長に向けた最重点事項であると考えている。ゆえに今期は意志を持って足場固めに必要なお金と時間を使っていく」と述べた。
同社はまた、発行済み株式総数の3.04%、1兆円を上限に自己株式を取得すると発表した。取得期間は9日から25年4月30日まで。自社株買いについては株価水準などを踏まえ、機動的に実施していき、今後、必要に応じて同社株式の売却要請に応えるために活用していくとしている。また、9日付で保有する自己株5億2000万株を消却することも発表した。
一連の発表を受け、前日比下落で取引されていたトヨタの株価は午後の取引で乱高下。一時上昇に転じる場面もあったが0.6%安の3579円で取引を終えた。