トヨタ、「足場固め」で今期営業益2割減予想-市場予想下回る
トヨタの今期業績予想
ブルームバーグ・インテリジェンスの吉田達生アナリストは、トヨタがグループを挙げて足場固めを重視する中、今期計画は「控えめな数字が出てくることは想定されていた」と指摘。減益要因となる投資は将来に成果を生むお金の使い方で、今後成果の刈り取りが進めばおのずと業績は会社計画を上振れることになるだろうと述べた。
今期の見通しについて、トヨタはステークホルダーとともに持続的に成長するため、モビリティーカンパニーへの変革に向けた投資を加速するとの考えを表明。仕入れ先や販売店を含めて人的資本への投資で3800億円、電気自動車やソフトウエア、人工知能など成長領域への投資が3200億円の減益要因になり、通期で減益見通しになるとしている。
電気自動車(EV)の成長に減速感が見られる中、トヨタが強みとするハイブリッド車(HV)の需要は堅調だ。高級車ブランド「レクサス」を含めたHV販売は前期比25%増の約447万6000台となることを見込む。26年に年間販売を150万台とすることを目指すEVは同46%増の17万1000台となる見通しだ。
会見に同席したトヨタの宮崎洋一最高財務責任者は、ラインアップの拡大に伴い北米市場では依然としてHV販売が堅調だと述べた。佐藤社長は、多様な選択肢を提供していくという同社のマルチパスウェイ戦略に変更はないと改めて強調し、26年のEV販売目標にはプラグインハイブリッド車(PHV)を含めて考えていいと思っていると話した。
フィリップ証券株式部トレーディング・ヘッドの増沢丈彦氏は、決算見通しについて、トヨタは為替感応度も高く保守的な計画を出しやすい企業であるため、市場予想を下回る利益予想は失望的な印象とコメント。1兆円の自社株買いについては発行済み株式の3%でトヨタ株への影響は大きいとは言えなさそうだとしながら、まれに見る規模の自社株買いは同業他社にも同様の期待が生じるため相場の支えとなりそうだ、と述べた。