デザイナー独自の審美眼が光る! ファッション業界のトップランナー5人が語る腕時計の“着こなし”方
自らのセンスや感性でさまざまなアイテムをつくり出すデザイナー。ファッション業界でトップを走る5人に、どのように腕時計を選び“着こなし”ているのか、話を訊いた。 【画像を見る】人気デザイナーたちが選んだ最高級腕時計
“なぜ好きか” を語れる、そこに腕時計の価値がある
日本を代表するブランドのひとつ、ホワイトマウンテニアリング。デザイン、実用性、技術を集約した服は世界的に人気を集める。デザイナーの相澤陽介が腕時計に魅せられたきっかけは、10年ほど前。イタリアのファッションブランドの担当者が運転するクラシックカーの助手席で、薫陶を受けた。 「海外ブランドと仕事をする時に顕著に感じるのが、まずは『なにが好きなのか』という話から入ること。ファッションとクルマ、時計は男性のライフスタイルを語る上で欠かせません。これから先のキャリアを重ねていくには、自身の趣味性が見える時計に意識を向けることが必要だと気づきました」 そんな彼の愛用時計はパテックフィリップ「ゴンドーロ 5109G」。2003年のモデルで、1920年代のレクタンギュラー形ウォッチから着想を得てつくられたものだ。 「取締役会や記者会見に出ることもあるので、堅いシーンによく着けます。ホワイトゴールドのレクタングルケースが、要素をそぎ落としたソリッドなデザインで美しい。時計もデザインも目立たせるのは簡単ですが、控えめに自己主張させるのが難しい。一見シンプルな黒とシルバーのみで存在感を放っているのが素晴らしいですね」 パテック フィリップには多くの傑作があるが、その中で「ゴンドーロ」は知られざる存在。人気があり値段が高ければいい時計、とは思っていないとも語る。そこに相澤流の時計選びの指針がある。 「自分がたくさん語れることが大事です。それだけいろんな面を持っているということですからね」 PATEK PHILIPPE / パテック フィリップ「ゴンドーロ 5109G」
自由に遊ぶ、腕時計の“ 着こなし” 方
「それタンクですか? とよく言われます。似ているけど違うし、実はタンクより歴史があって、ひねりが効いたところが好きです」 そう笑うファッションデザイナー、西野大士がカルティエの「サントス- デュモン LM エキストラフラット」を入手したのは2015年。 「いまでこそ時計はたくさん持っていますが、大人になって初めての高級時計でした。ブルックス ブラザーズで働いていた頃に先輩がスーツにパテック フィリップを着けていて、いつか自分もいい時計が欲しいと思っていたんです」 そんな経験もあって、西野が好むのは小型で薄いドレスウォッチ。ただ、着け方は非常に自由だ。 「基本的にこの時計は、かなりカジュアルな格好に合わせます。たとえばTシャツやトレーナーとか」 自らを天邪鬼だとも語る西野。あえて逆の印象の服と時計を合わせ、ファッションを楽しんでいる。 「靴や時計は専業ブランドを選びたいという考え方ですが、カルティエはそこを超えてくる装飾品としての魅力がある。尊敬しますね」 CARTIER / カルティエ「サントス‐デュモン LM エキストラフラット」