F1の2019年展望。トロロッソ、レッドブルと合体のホンダは頂点を極めることができるのか?
2019年は、日本のF1の歴史において、重要な一年となる。それはホンダが18年のトロロッソに加えて、19年はレッドブルにもパワーユニット(PU)を供給するからだ。 レッドブルは2010年から13年まで4連覇を成し遂げた強豪で、エンジンに代わってPUが投入されてメルセデスがF1を席巻し始めた14年以降も、15年シーズンを除いて、毎年欠かさず表彰台の頂点に上がり続けている。 15年にF1に復帰したホンダがパートナーを組んでいたマクラーレンも古豪チームだが、その2年前の13年からすでに優勝から遠ざかっていた。ホンダが第3期F1活動を始めた2000年に組んだBARも99年は1勝もしていなかった。ホンダが06年にエンジンを供給したスーパーアグリも、トヨタが07年からエンジンを供給したウイリアムズも前年は優勝していない。 80年代から90年代にかけてF1に参戦していたヤマハも、供給する前年に優勝を経験していたチームはいなかった。 日本のエンジンメーカーが、現在のレッドブルのように、現在進行形の勝てるチームにエンジンの供給を行い、実際に優勝したのは、88年のホンダ(マクラーレンへ供給)以来のこととなる。この年、ホンダが製造したターボエンジン 「RA168E」は、ゴードン・マレーがデザインしスティーブ・ニコルズが製作したマクラーレンのMP4/4に搭載され、16戦15勝という圧倒的な強さを誇り、アイルトン・セナがチャンピオンに輝いた。この勝率93.7%は、F1史上最高勝率として、いまだ破られていない金字塔だ。 あの栄光から31年。レッドブルと新たにパートナーを組むホンダは、どんな活躍を披露できるのだろうか。 まずレッドブルのマシンだ。18年シーズンのコンストラクターズ選手権でレッドブルはメルセデス、フェラーリに次ぐ3位に終わった。 しかし、車体に限れば、その性能はメルセデスとフェラーリを上回ると言われている。レッドブルは18年は4勝にとどまったが、そのうち2勝はモナコGPとメキシコGPだった。 車体の性能を評価するうえで、大きな要素となるのがダウンフォースだ。これは空気の流れを利用して車体を地面に押し付ける力で、その力が大きければ大きいほど、コーナーリングスピードが上がる。モナコとメキシコは18年に開催された21戦中、最もダウンフォースが必要なサーキットだった。 レッドブルの空力が優れているのには、理由がある。エイドリアン・ニューウェイがチーフテクニカルオフィサーとして開発を監修しているからだ。ニューウェイはウイリアムズ、マクラーレン、レッドブルでチャンピオンマシンを手がけた天才デザイナー。19年は前後のウイングなど空力に関するレギュレーションが変更されるが、ニューウェイが対応を誤まらない限り、19年もレッドブルの車体がF1界でトップに君臨することは間違いない。