F1の2019年展望。トロロッソ、レッドブルと合体のホンダは頂点を極めることができるのか?
問題は10チーム中、最高と評される車体に搭載されるホンダのPUだ。 PUの性能は大きく分けて、出力と信頼性の2つある。まず出力に関しては、スペック2以降はルノーとほぼ肩を並べ、F1復帰4年目にして、ようやく単独最下位の座から脱却したようだ。ただし、メルセデスとフェラーリのPUとの差はほとんど縮まっておらず、このウインターシーズンでのさらなる開発が急務だ。 次に信頼性だ。18年にホンダが使用したPUはドライバー1人あたり8基だった。これは17年より減ったものの、レギュレーションで定められている年間3基を大きく上回った。ただし、ブレンドン・ハートレーに限れば、PUのトラブルによる交換はフランスGPの1回だけで、あとは予選グリッドが後方になったのに伴っての戦略的交換だった。つまり、交換した数ほどにはホンダのPUに信頼性が不足しているわけではない。 ただし、信頼性に関してもメルセデス(ルイス・ハミルトン)とフェラーリ(セバスチャン・ベッテル)は年間3基で戦い抜いていたことからもわかるように高い信頼性を確立させている。PUの心臓ともいえるエンジンの開発は、その部品点数の多さから長い時間が必要とされ、ホンダが一足飛びに追いつくのは至難の技。 したがって、19年のレッドブル・ホンダはいきなりタイトル争いに加わるのではなく、まずは表彰台を狙う戦いに集中すべきだろう。そのうえで、18年にレッドブルが勝利したモナコやメキシコなど、PUの性能がラップタイムに大きく影響しないサーキットでは、勝ちを拾いたいところだ。18年にレッドブルがモナコGPで優勝したときも、そのとき搭載されていたMGU-Kに問題が発生し、性能が低下していたが、抜きどころがほとんどないモナコではハンディにはならなかった。 ホンダが最後にF1で優勝したのは、06年のハンガリーGP。 「プレッシャーが日に日に強くなり、緊張感も増していますが、いまはそれを楽しむ余裕もあります」(ホンダ/山本雅史モータースポーツ部長) 13年ぶりにホンダがF1の頂点に立つことを日本のファンも待っている。 (文責・尾張正博/モータージャーナリスト)