「味が濃い」はクレーム「濃いからタダにしろ」はカスハラ “行き過ぎ”要求は犯罪かも 制裁ありの条例も議論に タクシー会社では「はよママんとこ行け」迷惑客リアル研修で対応
■正規の料金を取り損ねてしまった新人ドライバー
教官:4500円置いとくわ。 新人ドライバー:もしお支払いしていただけない場合であれば… 教官:違うがな、払う言うてんねや。納得すれば払う言うてんねや。もう待たれへん。 新人ドライバー:申し訳ございません、ドアをお開けいたします。 教官:最初からそないして言ったらええねやもう… 正規の料金を取り損ねてしまいました。 教官:はい、降りといで。パニックったらあかんのよ。『会社によって料金は変動いたします。いつどの車に乗っても同じ料金ということははありえません』と。 ド迫力な演技で新人ドライバーに指導する熱血教官。
■行き過ぎたカスハラは犯罪行為
この日は社長も視察に来ていて、研修を受けた。 未来都タクシー 青柳直樹代表取締役:ありがとうございました、またのご乗車お願いします。 田上鉄郎教官:すごい、すごいです。でもお忘れ物の確認が遅かったですね。 教官もサラリーマン。社長にはソフトな指導だった。 田上鉄郎教官:こちらが毅然とした対応をすればお客様も『そうなんだ』と。ふにゃふにゃとなると、お客さまとしても、『なんやねんしっかりせえよ』と。クレームの時点だとまだ問題ではないんですが、カスハラとなると、私たちとしてもドライバーを守りたい。 トラブルが起きないのが一番だが、行き過ぎたカスハラは犯罪行為になることを忘れてはいけない。
■クレームとカスハラの違いは?
カスハラについて、ココロバランス研究所の島田恭子代表に聞いた。 「カスハラ」とは、態度・言動と要求内容のかけ算だということだ。 態度・言動とは、攻撃的な態度や嫌がらせ行為など。 要求内容とは、例えばラーメン店で「味が濃い」というのはクレーム。ここでもし「味が濃いから無料にしろ」というと、提供サービス以上の要求ということで、カスハラとなり得る。 客側が冷静に言ったとしても、これが過度な要求だったらカスハラになり得るということだ。 島田恭子代表によると、「クレームは消費者から大事なメッセージである。ただ悪質なクレームになるとカスハラになる。お客様は神様ではなく、お互いさま」だという。