すべての観光客がコロナ患者だと考えて迎え入れる――経済との両立、沖縄の医師が語る「腹の括り方」【#コロナとどう暮らす】
米軍からの情報と噛み合わない米兵の行動
──米兵の感染状況は県側に対して詳細に伝えられておらず、それについて玉城デニー知事も懸念を表明していました。 米軍からの情報をもとに、県は米兵の感染者数を公表することになりました。ただ、詳細な情報提供はなく、漠然と「感染リスクのある行動は認めていない」という話しかしない。当初、それで私たちは不信感を持ちました。というのも、感染が判明した米兵と接触があったという日本人たちがいて、感染を心配して私たちの病院を受診していたからです。 ──では、病院側でも事情が見えてきますね。 そうした方々の話を聞くうちに、米兵についての行動も明らかになっていきます。点と点がつながって、いつ、誰と、どこの店にいたのか、その後どう動いたのか、動線が明らかになるのです。ところが、こうして浮かび上がった情報と米軍が言っていることとが、どうにも噛み合わないのです。 ──米軍はなぜ情報を提供しないのでしょうか。 軍のルールでは、手を洗うこと、6フィート(約1.8メートル)の間隔を空けること、マスクの着用などが常に求められているほか、基地外でのバーやクラブ、大勢が集まるイベントへの出入りを禁じています。でも、実際には、少なからぬ米兵がそれを守っていません。
──大騒ぎの動画などを見れば明らかですね……。 しかし、それがバレると、懲罰対象になって本国送還になる可能性すらあるんですね。だから、疫学調査に対して正直に話せてないようなんです。つまり、米軍は、基地外での実態が把握できていないんだと思います。 ──現時点での米兵の重症度などの情報は伝わっていますか。 今のところ(取材時98人)、みんな軽症とのことです。ほとんどが20代の活きのいい若者たちなので、重症患者が出ることは考えにくい。そのことも、兵士たちの危機感が薄い原因なんだろうと思います。任務としての基地内ではマスクを着用しても、プライベートな基地外ではマスクを外してしまうのです。自分たちは大丈夫であっても、沖縄の高齢者を守るために、適切な感染対策をとることの重要性を学んでほしいところです。