すべての観光客がコロナ患者だと考えて迎え入れる――経済との両立、沖縄の医師が語る「腹の括り方」【#コロナとどう暮らす】
高山義浩医師は、日本で最初のクラスター現場、クルーズ船にも乗り込んで対応した感染症と地域医療のスペシャリストだ。当時、クルーズ船の内部のゾーニングへの批判が同業医師からなされた際、船内の事情を知る医師として丁寧な説明をネット上で行ったことでも注目された。 そんな高山氏が働く沖縄で、米兵たちのクラスター感染が発生した。日米地位協定は、9条で旅券なしの出入国を認めており、米軍基地経由で入国した場合、誰がいつ入国したのか把握できない。これは、すなわち、入国時の検疫もできないということでもある。
米兵の市中感染、「二つの可能性」
──感染経路としては、どこから米兵に広がったのでしょうか。米国本国からでしょうか。 在沖米軍は、ウイルスが米国本土から持ち込まれたものと考えているようです。本国から沖縄に兵士が到着した後、14日間の停留をしているはずですが、その方法が甘かったのかもしれません。しかし、沖縄の市中感染であった可能性もあります。 ──可能性として、どんな形が考えられますか。 一つは沖縄の「夜の街」で流行していて、そこで感染した米兵が、7月4日のイベントに参加してアウトブレイクを引き起こしたという可能性。もう一つは、すでに感染者数がぶり返していた東京からの観光客にスーパー・スプレッダー(高い感染力を持つ人)がいた可能性です。 ──どちらの可能性が高いですか。 こうした可能性を調べるためにも、北谷町でのPCR検査が必要だったんです。受検者は地元の人だけで、全員が陰性でした。ですから、沖縄の「夜の街」で流行している可能性は低くなりました。あとは、東京からの観光客ですね。とくに、沖縄の米兵と遊べるスポットは、東京の「夜の街」の人もよく行きますから……。 ただし、これらはいずれも憶測にすぎません。ウイルスの遺伝子型を調べれば、明らかにできるかもしれませんが、あらゆる可能性を検討しながら、ひとつひとつ予防策を考えていくことが、沖縄を感染症に強くしていくために必要なのです。