バカとは根本的に違う…頭のいい人だけが知る「極上のインプット」と「アウトプットの質を高めるセリフ」
■ビジネスは人生の下位互換だ ---------- どっちが賢い?【Q7】 A パワーポイントで始める B ワードで始める ---------- アウトプットと聞くと反射的に「パワポ」(PowerPoint)を連想する人が多いのではないでしょうか。世の中には、「コンサルはプレゼンをする。ゆえに、パワポ使い」というイメージがあるようです。僕はBCGのコンサル上がりですが、アウトプットで使っているのは9割がたワードです。ポンコツなコンサルほど早い段階からパワポを立ち上げるものです。 なぜならパワポは「描く」ツールで、美しさが最重要。しかし、プレゼンや資料で評価されるのは、見た目よりも内容です。どんなにデザインや色使いがきれいでも、内容が薄ければ、その資料には価値がないと判断されます。 ところがパワポは開いた途端、「インデントがずれてないか」など、見た目ばかりが気になって、内容が深まることはないのです。中にはパワポを開いてから「タイトルにどんな文言を入れようか」「ここにグラフを入れておきたい」と内容をつくる人もいますが、本末転倒と言わざるをえません。 アウトプットの作業では、完成ギリギリまで内容に集中できる状態、見た目が気にならないツールで内容を詰めなければなりません。そこで使うべきはパワポではなく「ワード」(Word)です。読み手に刺さる言葉を探し、ポンチ絵は裏紙にフリーハンドで下描きし、それが効果的な場合のみ最後にパワポに落とし込むのです。 有名な話ですが、米アマゾンの社内文書はA4ペラ1枚(プロジェクト提案などは6枚)と決められていて、パワポは使用禁止。論旨が明確で無駄を削ぎ落とした簡潔な文章が求められます。 あなたが愛する人に想いを伝えたいときに、最も効果的なのは「手紙」です。相手を想いながら文面を練り上げ、何度も書き直しながらしたためる。いわばこれがワードの作業。対して相手の前に出てひざまずき「指輪」を贈る人もいます。これは、見た目にそれらしく演出できるパワポの作業です。想いはあるのかもしれませんが、そこに「伝わる言葉」はありません。 パワポに限らず、一般にコンサルの武器と思われているものには、リアルな人生ではまったく使いものにならないポンコツのスキルが山ほどあります。MECEしかり、ロジックツリーやイシューツリーしかりです。彼女と別れるか、別れないかの痴話話になったときに、「では、イシューツリーで解決しようか」とはなりません。 だけど僕が本稿で紹介してきた7つのムーブは、いずれもプライベートで活用できます。逆の見方をすれば「プライベートに使えないスキルは、ビジネスでも使いものにならない」と言うこともできます。なぜなら、ビジネスは人生の下位互換だからです。 仕事がうまくいかなくて、家族やパートナーに当たる人は最悪です。けれど、パートナーともめてプレゼン中に泣き出す人を、私は最高にセクシーだと思います。それこそが人生です。 皆さんの行動が変わることを願って、あえて強い言葉を使ってきました。最後に、7つのムーブを携帯の待ち受け画面に設定し、丸暗記してどんな場面でも行動に移せるようにしてください。何かが変われば最高だし、ハマらなければやめたらいい。とにかく動いてみることが最も大切なのです。 ---------- Move7 アウトプットは見た目より中身。必ずワードで始める ---------- ※本稿は、雑誌『プレジデント』(2024年10月18日号)の一部を再編集したものです。 ---------- 高松 智史(たかまつ・さとし) 経営コンサルタント KANATA代表取締役、「考えるエンジン講座」代表。一橋大学商学部卒。NTTデータ、BCG(ボストン・コンサルティング・グループ)を経て、論点思考を伝授する「考えるエンジン講座」にて自ら講師として授業を提供。本講座は個人・法人合わせて年間1000人が受講。コンサル思考・心得を配信するYouTube「考えるエンジンちゃんねる」を運営(登録者数3万人)。著書に『コンサルが「最初の3年間」で学ぶコト』など6冊があり、累計30万部超のベストセラー作家でもある。 ----------
経営コンサルタント 高松 智史 構成=渡辺一朗 図版作成=大橋昭一