【詳報】ホンダと日産の経営統合は「ナシ」の可能性も? 2030年以降にトップ級メーカーを目指すも、合理化以外の“シナジー”は?
経営統合後の利益は1.5倍超、影響が本格的に出るのは2030年以降
会見で何度も口にされたのが「シナジー」という言葉だ。ご存じのとおりシナジーとは相互に作用し合い、単体で得られる以上の「相乗効果」を意味する。両者の統合によるシナジーとして「全体で売上高30兆円、営業利益3兆円を超える世界トップレベルのモビリティカンパニーを目指していきます」という。 ホンダの営業利益は1兆3819億円、日産は5687億円(ともに2023年度)。経営統合後は1.5倍超の企業になることを狙う。ちなみに世界1位のトヨタは2023年度に過去最高の営業利益5兆3529億円を記録している。 経営統合には、具体的に以下7つのシナジー効果があるという。 ① 車両プラットフォームの共通化によるスケールメリットの獲得 ② 研究開発機能の統合による開発力向上とコストシナジーの実現 ③ 生産体制・拠点の最適化 ④ 購買機能の統合によるサプライチェーン全体での競争力強化 ⑤ 業務効率化によるコストシナジーの実現 ⑥ 販売金融機能の統合に伴うスケールメリットの獲得 ⑦ 知能化・電動化に向けた人財基盤の確立 プラットフォームの共通化による合理化や開発コストの低減といったシナジーを挙げている。ホンダ三部社長によると、シナジーは2030年手前で出始め、本格的には2030年以降だと考えているという。 しかしながら、あくまで経営統合の目的は、合理化や日産の「救済」のためではなく、2030年に向けて競争力を持ち、総合的な価値を上げることが目的であることを強調していた。例え話として「ホンダはハイブリッド車、日産はピックアップトラックを持っている。経営統合でこの両者を組み合わせることができる」と三部社長はコメントしていた。 また現状で両社の販売地域やラインナップが重なっているが、統合後は変更していくという。
「ホンダは会社として動くスピードが早い」所に惚れた!?
質疑応答では記者から「経営統合について従業員にどう説明するのか」との質問も。日産の内田社長は「業績の不振は経営責任。希望をもって日産ブランドを輝けるようにしたい。一旦ターンアラウンドで縮小するが、希望になる」という。ホンダ三部社長は「ステークホルダーを含めて丁寧に説明していく。いろんな議論した上で納得してもらわないと進められない。ある一定の期間が必要ですが、これからやっていく」と話す。 また「シナジーという話は出ても、どこに惚れたか、どうして一緒にやっていきたいと思ったのか、理由がわからない」との質問が。ホンダ三部社長は「難しいな(笑)。日産は名門で尊敬に値する企業。技術の進化やコスト低減、投資削減を単独でやり切るのは非常に難しい状況の中で効率を上げながら、それぞれのホンダらしさ、日産らしさは全く変わらない」と返答。 一方、日産の内田社長は「(ホンダは)将来の危機感が共有できる相手。クルマだけでなく様々な事業で順応するスピードが早い。会社として動くスピードが早い。強いところを持ち寄って2社が一緒にそのスピード感で検討していければ、競合他社に対しても勝っていけるんじゃないかなという気持ちが今回の一番のポイントかなと思っています」と答えた。
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