阪神・原口文仁、令和の春団治になる 記録でも記憶でもファンに愛された川藤幸三さんを目指す
阪神・原口文仁内野手(32)が28日、故郷の埼玉・寄居町で後援会主催の野球教室を行い7チーム約100人の子供たちに指導した。今オフは国内フリーエージェント(FA)権を行使するも阪神残留を決断。いま胸に刻むのは、どんなときも見るものを引きつけ「浪速の春団治」として愛された川藤幸三氏(75)=前OB会長=の言葉だ。その背中を追いながら、2025年もひと振りに魂を込める。 タテジマのまま子供たちの前に戻ってきた。虎で生き続けると決めた原口の表情は、故郷の青空と同じようにスッキリ晴れ渡っていた。ここから先、目指すのは「令和の春団治」だ。大先輩と2人で交わした言葉を、静かに明かし始めた。 「川藤さんにはタイガースの歴史をちゃんと聞きました。もうイチから」 若手の頃から気にかけてくれていた川藤前OB会長にも、国内FA権を行使し残留することを決めた今月12日の夜に連絡。「おう、そうか。頑張れよ!」と背中を押してもらった。これまで、普段の練習後にも何度も打撃などについて会話を重ねてきた仲だったが、今季はふと〝そもそもの話〟をしたことがあったのだという。 「まず、なんで(川藤前OB)会長が『春団治』なのかというお話をちゃんと聞いて。阪神はその頃あまり強くなかったから、みんな(観客が)七、八回で帰っちゃうところを会長が出てきて帰らせない、と。やっぱりそれもチームへの貢献、営業面での貢献ですよね」 原口が今季、クライマックスシリーズのDeNAとのファーストステージ第2戦の最終回に一発を放ち、敗色濃厚の中で虎党をスカッとさせたあの打席も、まさに近い意味を持っていたのかもしれない-。 ファンが心を寄せたくなる〝物語がある男の一打席〟は、ときに勝敗もお金も超えて価値を持つ。1983年オフに戦力外通告を受けても「給料はいらないから野球をやらせろ」という姿に感銘を受けた上岡龍太郎らが、給料をカンパして集めてくれた逸話などもじっくりと聞いた。 「やっぱり人をひきつけられる魅力のある方だと思います。ファンに愛された方というのは、選手としては目指したいところ。そうなれるように努力していきたい」