2025大阪・関西万博会場、開幕に向けて工事着々:海外&国内パビリオン、トイレの一部を披露
2025年4月の開幕に向け、大阪・関西万博の準備が着々と進んでいる。日本国際博覧会協会は12月20日、会場となる人工島・夢洲(大阪市此花区)で24年最後のメディア公開を行い、万博テーマを提言するシグネチャーゾーンや海外パビリオン、若手建築家が手掛けたトイレなどを披露した。
佳境を迎えた海外&国内パビリオンの外観工事
大阪・関西万博のシンボル「大屋根リング」では、全周2キロの遊歩道部分がほぼ仕上がっていた。植樹作業もだいぶ進み、芝生が生えそろった場所も多い。その内側では海外パビリオンや、開催国・日本のメイン展示となるシグネチャーパビリオン、休憩所やトイレの建設作業が急ピッチに進み、全容が少しずつ明らかになってきた。 コロナ禍の影響もあり、資材や建築事業者の確保が難航し、一時は開幕に間に合わないことが懸念されたが、アイルランド館が海外パビリオン初の外観工事完了を迎えるなど巻き返してきた。主催する日本国際博覧会協会の高科淳副事務総長は、4月13日の開幕を見据えて「万全の状態でお客さまを迎えたい」と気を引き締める。
“いのちの輝き”を発信するシグネチャーゾーン
日本を代表する8人のプロデューサーが万博テーマ“いのち輝く未来社会のデザイン”を提言する「シグネチャーパビリオン」も、外観工事が完了に近づいていた。すでに足場の取れた「いのち動的平衡館」は、細胞が分解と合成を絶え間なく繰り返し、バランスを保つことで生命が維持される「動的平衡」をキーワードに、“いのちを知る”ことの重要性を発信する。 プロデュースした生物学者・福岡伸一さんは「命とは何かを知るということについて、正面から向き合ってこのパビリオンを作った。(同時に)おそらくこの万博では唯一、死の問題も取り扱っている。生命は有限であるからこそ輝くわけで、生命の必然としてあるということを感じてもらうための展示を考えている。それは、できてからのお楽しみ」と述べた。
建物内には柱がなく、外周を囲む鉄骨リングからワイヤやエアチューブを張り巡らせ、膜屋根を支えている。通常の建築物は構造を決めてから柱を立てて軸を決めるが、福岡さんは「生命は細胞同士がバランスを取り合い、いろんな分担をしながら最後に骨を作って全体を整えるみたいに発生する。いわゆる建築思想とは逆のルートだが、柱のない、細胞のような自律的な空間というむちゃな発想がまずあり、それを実現していただいた」と解説する。 建築家の橋本尚樹さんは「弱い材料同士を組み合わせ、少しずつ引っ張っていくと、ポンと均衡を保って強度が生まれる。先生が『発生的』と表現するものですけど、建築的な構造計算としてはチャレンジングで、めちゃくちゃ難しかった」と苦笑いしていた。